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PCB廃棄物の木材の処理方法は?リサイクルはできる?

木材のなかには、人体への有害性が明らかになっているPCB(ポリ塩化ビフェニル)を含有しているものもあります。ここでは、PCB廃棄物に分類される木材の処理方法についてまとめているため、参考にしてください。

PCB廃棄物とは?

PCB廃棄物とは特別管理産業廃棄物のひとつで、ポリ塩化ビフェニルを含む油またはポリ塩化ビフェニルの含有物かつ廃棄物となったものを指します。

ポリ塩化ビフェニル(PCB)は人工的に作られた油状の化学物質で、水に溶けにくい、沸点が高い、熱で分解しにくい、不燃性など化学的に安定した性質を持つことから、電気機器の絶縁油やノンカーボン紙などさまざまな用途で用いられてきました。けれど、混入したPCBが原因で健康被害を引き起こしたカネミ油症事件(1968年)によってPCBの毒性が問題となり、現在は製造・輸入ともに禁止されています。

PCB廃棄物は「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB特措法)によって処理方法が細かく規定されており、取扱いには細心の注意が求められます。

木材は「低濃度PCB汚染物」

PCB廃棄物は「廃PCB等」「PCB汚染物」「PCB処理物」に分類され、木材は低濃度PCB汚染物に該当します。低濃度PCB汚染物とは、以下に該当するPCB廃棄物のことです。

  • 微量PCB汚染物…微量PCB汚染絶縁油に汚染されたもの
  • 低濃度PCB含有汚染物…PCBが塗布・染み込み・付着または封入された主に固形物のもの

事業活動から生じたPCBが染み込んでいる木くずは産業廃棄物になるため、適切に処理する必要があります。また、1972年以前に製造されたポリサルファイド系シーリング材にもPCBが含有しているので、所有している事業者はPCB特措法で定められた期日までに処分委託を行わないといけません。

木材の「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の違い

産業廃棄物のなかでも木くずは一般廃棄物との境界があいまいなため、本来なら産業廃棄物に分類されるものを一般廃棄物として扱わないように注意が必要です。もしも産業廃棄物を一般廃棄物として扱ってしまった場合、罰則を受ける可能性があります。

産業廃棄物と一般廃棄物のどちらかを判断する基準は、木くずの種類と発生した事業の中身によります。発生したシーンや条件によって扱いが変わってくるため、判断に迷う場合は必ず行政に問い合わせましょう。

木くずのうち、産業廃棄物と一般廃棄物に区分される代表的な例を紹介します。

【産業廃棄物に区分される木くずの種類】
  • 建設現場で発生した木くず
  • パルプ製造業で発生した木くず
  • 木材や家具などの木製品の製造時に発生した木くず
  • 輸入した木材の卸売で発生した木くず
  • 事業活動から生じたPCBが染み込んでいる木くず
【一般廃棄物に区分される木くずの種類】
  • 廃木製パレット
  • 剪定枝(園芸サービス業で発生した場合)
  • 間伐材・伐採木そのもの
  • 木材や家具などの木製品
  • 流木
  • 梱包用の木材や枕木などの木くず

PCB廃棄物の木材のリサイクルはできる?

PCBが染み込んだ木材はリサイクルが認められておらず、国が指定する処理施設において排水・排ガスを無害化し、焼却処理を行う必要があります。

PCBが使われた廃棄物の処理方法は?

木くずをはじめとした低濃度PCB廃棄物は、環境大臣から認定を受けた無害化処理認定施設および都道府県知事等が許可する施設で処理が行われます。低濃度PCB廃棄物の処理方法にはいくつか種類があり、木くずの処理に対応しているのは主に「水熱酸化分解」と「溶融分解」の2つです。

水熱酸化分解は高温高圧の熱水中で水酸化ナトリウムによってPCBを脱塩素化し、さらに酸化反応を引き起こすことで水・食塩・二酸化炭素に分解する処理方法です。溶融分解は千数百度以上の高温で処理する方法で、PCB汚染土壌の処理としても適用されています。

PCB廃棄物の処理期限について

PCB廃棄物の処理体制の整備と適正な処分を目的とした、「PCB廃棄物特別措置法」が2001年7月に制定されました。PCB廃棄物特別措置法ではPCB廃棄物の処理期限も規定されており、低濃度PCB廃棄物については2027年3月31日まで、高濃度PCB廃棄物については遅くとも2023年3月31日までに適正に処理を行わなければいけません。

もしも、低濃度PCB廃棄物を処理期限日までに処理しなかった場合、3年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金が課されます。

参照元:経済産業省|ポリ塩化ビフェニル(PCB)使用製品及びPCB廃棄物の期限内処理に向けて※PDF(https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2021/02/20210218.pdf

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