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化石燃料価格の上昇にともない、バイオマス燃料に注目が集まり始めています。バイオマス燃料の価格自体が下がったわけではありませんが、相対的にみると化石燃料よりも有利だからです。また、価格のみならず、バイオマスボイラーの燃焼技術や自動制御なども進化しています。
しかし今現在は、バイオマスボイラーの設置コストは、化石燃料の場合よりも多くかかってしまいます。そのため、一定期間内でトータルのコストが有利になるように運用できるかどうかが決め手となるわけです。このページでは、コストの構造をふまえた上で収支計画を考える方法をまとめています。
バイオマスエネルギーを利用する際、「どういった種類のコストが生じるのか」という点を把握しておくことが大切です。費用の種類は多岐にわたりますが、ここでは「設備費」と「ランニングコスト」の2つに分けて、それぞれ解説していきます。
設備費とはつまり初期費用のことです。日本では、初期費用の一般的な傾向についてのきちんとしたデータがまだありません。そのため、ここでは、チップを燃料とする300kW規模のバイオマスボイラー(高い熱効率をもち、さらに自動運転や自動制御の能力を備えた機種)について、訪問調査やアンケート調査、メーカーヒアリングなどの回答をもとにしたデータを紹介しています。
◆機器
ボイラー本体および配管などの付帯設備にかかる費用。ボイラー本体価格は3,000〜4,000万円程度です。
◆建屋・サイロ
2,000〜4,000万円程度の費用がかかります。
◆建設
計画費用や設計費用を含むと、費用は2,000〜4,000万円程度となります。
3つ合計金額、およそ7,000万円~1億2,000万円が設備費(初期費用)として発生するお金です。
バイオマスボイラー本体について、さらに詳しくみていきましょう。同じ規模のボイラーであっても、対応可能な燃料・木材に含まれる水分量はさまざまです。水分の高い燃料に対応できる機種は、やはり価格が高くなります。また、自動制御の度合いなどといった性能や仕様の違いも、価格に影響します。
主なランニングコスト(維持にかかるコスト)は次のとおりです。
はじめに燃料費について解説します。今回は、これから普及が進むとみられている「チップボイラー」を想定しています。チップとは、1トンあたりおよそ8,000~15,000円で取り引きされている燃料のことです。燃料としてのチップの標準的な水分量は35%ですが、きちんと水分量が管理・一定なものは高品質なチップに限られているようです。一般的なものだと、35%から55%まで、まちまちという状況です。しかし、チップの燃焼において、水分管理はきわめて重要です。そのため、今後、質のよいチップを生産し、適正な価格を設定していけるかどうかが、バイオマスボイラー発展のための鍵となります。
次に、保守・点検といったメンテナンスについてです。メンテナンスの方法は、バイオマスボイラーのメーカーとの契約内容によりさまざま。工夫次第でコストカットも可能です。たとえば、1年間に何度も東京から技術者を呼んでメンテナンスを依頼すると、保守・点検などのメンテナンス費用は100万円にもおよびます。けれども、バイオマスボイラーの特性をきちんと理解し、専門的なメンテナンス以外は自分で行うようにすれば、メンテナンス費用を10~30万円ほどに抑えられます。また、ボイラーの運転を適切に行い、できる限りボイラーに負担をかけないよう気をつければ、故障する頻度が抑えられてメンテナンス・修理費の軽減につながります。
バイオマスボイラーを利用すると生じる燃焼灰の取り扱いには、注意が必要です。燃焼灰は産業廃棄物の扱いとなるため、1トンあたり1万円ほどの処理委託費用がかかります。(樹皮つき)チップを燃料とした場合に生じる燃焼灰は、およそ1.0〜2.5%です。
最後に、電気料金について説明します。現代的なバイオマスボイラーは全自動運転式のものが多いため、電気料金はどうしても高めになります。また、ボイラー本体以外に、循環ポンプ・熱量メーター・電灯・サイロシャッターなども電力を要するため、正確な電気代をあらかじめ算出するのは困難だといえるでしょう。 ただ、メーカーが、経験から想定される消費電力量の見積もりを出しています。100%正確というわけにはいきませんが、概ねの数値を把握可能です。電気代ひとつ例をあげると、定格出力が240~360kWのボイラーでは、年間稼働時間を2,500時間とした場合、1年間の電気料金は26万5,000円程度になるという見積もりが出ています。
これまで使用していた化石燃料ボイラーを、バイオマスボイラーへ替えた場合の、収支を計算します。設備費はバイオマスボイラーのほうが多くかかりますが、燃料費は安くなるため、ランニングコストの削減は可能です。つまり、使用を続ける分だけ、その削減費用が累積されていくことになります。累積された削減費用が、設備費の差額を償却するまでに要する期間を計算するわけです。
ただ、注意したいのが、バイオマスボイラーの減価償却年数が15年であるという点です。それを上回ってしまうと、投資の回収は難しくなってしまいます。その場合は、回収可能となるように稼働時間や初期費用などを調整(ただし、稼働時間を増やすには、熱の需要が充分にあることが前提です)が必要です。その結果、現実的でない数字が出る場合は、化石燃料ボイラーをバイオマスボイラーへ替える経済的メリットはなくなります。
ちなみに、メーカーが定めるボイラーの価格をそのまま使って計算すると、投資の回収は難しいのが現状です。しかし、木質バイオマスボイラーの導入に際しては、公的な補助金制度が設けられています。補助金を計算に入れると、回収可能になる場合が多くなるので、目の前の収支だけでなく、制度の活用にも目を向けると良いでしょう。
設備投資を回収できる運用も見込めるのですが、バイオマスボイラー導入における手間を考えると、重い腰が上がらないかもしれません。日本でバイオマスボイラーを導入すると、補助金制度を利用してボイラー本体の価格が半額ほどになったとしても、まだドイツやイギリスよりも高い設備費(国内のバイオマスボイラー設備費は、欧州の4~8倍です)がかかってしまいます。日本でバイオマスボイラーを普及させるためには、導入時のコストダウンが急務だといえます。それが実現されれば、ゆとりをもって減価償却期間内に投資を回収することが可能になるわけです。民間事業にとってもより魅力的な投資となり、さらに普及が進むでしょう。
木を選ばない
唯一無二のプラントを持つ
バイオマスエナジー社
木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。
そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。