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このページでは、バイオマス発電について、発電のしくみや燃料の特徴、導入事例などを解説。また、バイオマス発電が今後どのような位置づけとなっていくのか、メリット・デメリットだけでなく、国の政策とあわせて考えていきます。
「再生可能な生物由来の有機性資源(化石燃料を除く)」と定義されているバイオマス。近年、耳にする機会が増えつつあるワードです。バイオマスは、環境に優しい発電を可能にする資源として、徐々に注目を集めています。
「バイオマス燃料」を使用する「バイオマス発電」では、従来の火力発電と同じように、燃料を燃焼させる際に発生する水蒸気やガスを利用して、タービンを回します。つまり、電気を発生させる仕組み自体は、既存の発電方法と全く変わらないわけです。
次に、バイオマス燃料の使い方について説明します。バイオマス燃料で熱を発生させる方式は、大きく分けて3つ。燃料の性質やボイラー設備の規模などに合わせて、正しく使い分ける必要があります。それぞれの燃料にどのような特徴があり、そしてどのような方式で使うのかをみていきましょう。
火力発電における発電方法と同じです。もっともスタンダードな発電方法だといえます。木材などを燃焼させて生じた熱を利用して、水を沸騰させます。沸騰したお湯が発する水蒸気の力を利用して、タービンを回転させる方法です。
この方式では他の方式と比較した場合、最高到達温度が低いのが欠点。そのため、大型の設備を使って、効率をアップさせなくてはなりません。その際に留意しておきたいのは、大型の設備はその分、大量の燃料を必要とする点です。燃料用の木材を、大量かつ確実に調達できる場合に適している方式と言えるでしょう。
ところで、「間伐材が余っている」というニュースを耳にしたことのある人も多いのではないでしょうか。そのため、「余っている木材があるくらいだから、安い価格で簡単に調達できるだろう」と思われがちです。しかし、実際には、未利用の間伐材を調達は、困難なのが事実。施業の集約化がまだ充分でない上、路網の整備も遅れています。そのため、年間2,000m2にもおよぶ大量の間伐材が、未利用のまま残っているのです。路網がきちんと整備されていないので、木材を運搬することは簡単ではありません。
木材などのバイオマス燃料を高温で蒸し焼きにして、炭をつくります。その過程で、可燃性の熱分解ガスを発生させ、このガスを燃料にしてタービンを回して発電する方式です。
熱分解ガス化方式は、燃焼温度を高くできるのがメリット。そのため、直接燃焼方式で発電する場合のように、大規模な設備を用意する必要がありません。規模の小さい発電所などに適した発電方式だといえます。
別名「バイオガス発電」とも呼ばれる発電方式です。この方式では、発酵しやすい物質(例:下水汚泥・家畜のふん尿)を燃料として使用します。発酵させることで発生するメタンガスなどを燃料に、タービンを回します。
この方式のメリットは、下水汚泥や家畜のふん尿のように、水分が多い物質や廃棄物を活用できる点です。また、ガスの発熱温度が高いため、効率的な発電を可能にします。
バイオマス発電の燃料として使用される物質は、木材以外にもさまざまな種類があります。その中から、先述生物化学的ガス化方式で取り上げた「家畜のふん尿」を含む3種類の燃料に焦点を当てて、それぞれの特徴について簡単に説明していきます。
石炭火力発電所では、もちろん石炭が燃料です。この燃料の一部を、木材に置き換える方法があります。つまり、「木材と石炭の混合燃料」を使用するわけです。燃料をすべて入れ替えるわけではないため、それまで使っていた発電設備でも、対応できます。過去の結果から、燃料の4分の1までを木材(木質バイオマス燃料)に置き換えた燃料を利用した発電が実証済みです。燃料の一部を少しずつ木材へとシフトしていくため、大急ぎで設備を入れ替えたり、大量の木質バイオマス燃料の調達方法を確立したりする必要がありません。様子をみながら試せるという点で、木材と石炭の併用は、注目しておきたい燃料です。
また、石炭火力発電は二酸化炭素の排出量が多いため、環境への悪影響が問題視される場合があります。混合燃料を導入すれば、「環境に優しい発電」へ一歩近づくことになります。徐々に環境に配慮した設備へシフトしたい方と相性が良い燃料です。
広く利用されている一般的な木質バイオマス燃料などと比較して、かちくのふん尿は「水分量が多い」「灰の発生量が多い」という2つの特徴があります。
家畜のふん尿を燃料として使う場合、含まれる水分の上限は70%とされています。ふん尿そのままでは、この数字を超えてしまうため、ある程度乾燥させて水分量を下げておく必要があります。次に、灰が多く生じるという特徴についてみていきましょう。ふん尿を灰にすることで生じるガスは発電燃料に使われます。そして、残った灰にも使いみちがあります。灰にはカリやリンなどの肥料成分が多く含まれているので、肥料としての利用が可能です。
パームヤシの殻も、燃料として用いられています。パームヤシの実からパーム油が取り除かれたものが「ヤシの殻」です。ヤシの殻には、脂分がまだ残っています。そのため、平均的な木材よりも、効率のいい燃焼が可能です。
日本で拡大しつつあるバイオマス発電ですが、間伐材を上手に利用できない状況も一因となり、木質バイオマス燃料の調達が難しくなりつつあります。一方で、パームヤシは、アジアの他の地域にある熱帯雨林で栽培されたものなので、輸入が続く限りは、より確実に調達できる燃料です。ただし、長距離輸送による二酸化炭素排出や、熱帯雨林伐採による生物多様性へのダメージなど、必ずしも環境に優しいわけではないという面があります。
日本国内の3つのバイオマス発電所について、発電施設の設置認定年や発電規模、特徴などをまとめました。
2008年に設置認定された発電施設。発電規模は21,000キロワットです。
木材会社の工場に隣接しており、住宅用建材を製材する際などに生じるおが屑やバークを、燃料として使用しています。発生させた電気は、発電施設と隣接する工場に使用し、余剰分を売電。また、燃料を燃焼させる際に発生する水蒸気は、発電用としてだけでなく、隣接する木材工場の建材を乾かすのにも使われてます。見事なまでに、「無駄のないエネルギー活用」に成功しているバイオマス発電導入事例です。
2013年に設置認定された発電施設。発電規模は5,700キロワットです。
地元日田市の間伐材を利用してバイオマス発電を行っています。発電に使用している燃料は、未利用の間伐材を木質チップに加工したものです。また、森林再生やエネルギー循環、木質バイオマス発電などについての知識を一般の人たちにも深めてもらうため、見学を受け付けています。見学をする際、市内の人は料金は不要です(市外の人は、パンフレットなどの資料代として1,000円の料金がかかります)。
2011年に設置認定された発電施設。発電規模は33,000キロワットです。
かつては焼却処分されていたような建築廃材を、燃料として使用しています。使用している廃材は、主に都市部で多く発生する木材です。それを川崎で燃料として活用しているので「エネルギーの地産地消」に貢献しているといえます。また、窒素酸化物を取り除く「排煙脱硝装置」や硫黄酸化物を取り除く「排煙脱硫装置」を発電所に備えたのは、国内ではこちらの会社が最初です。
バイオマス発電を含む「再生可能エネルギー」に関して2018年7月に閣議決定された計画によると、これらのエネルギーに対して「主力電源化」へ向けての取り組みが行われていくようです。2013年からバイオマス発電などの導入の推進がスタートしていますが、今後も引き続き導入拡大のための政策の実施が見込まれます。
また、バイオマス発電に関しては、「地域活性化にも資するエネルギー源」としても位置づけられています。バイオマス発電が抱えている最も大きな課題の「高コスト」。国による解決策の一環として、バイオマス発電の設備を導入する際などに利用できる助成金制度は以前から設けられています。しかし、助成金を利用した場合でも、ヨーロッパの一部の国々と比較すると、日本では数倍のコストがかかってしまうのが現状です。そのため、今後どのようにコスト削減をしていくべきか、その道筋を明確化していけるかどうかがカギとなります。
また、バイオマス発電は燃料の観点から見ても、バイオマス発電と林業・畜産業などの第一次産業は、密接な関係があります。バイオマス発電の導入が拡大すれば、新たな雇用の創出も見込まれるでしょう。ひいては、地域の活性化にも大きく貢献すると予想されます。
地球温暖化防止や循環型社会形成、戦略的産業育成などを目標として、バイオマス発電拡大をはかるための様々な施策が推し進められてきています。その中の主な2つの制度をまとめました。バイオマス発電のメリット・デメリットもあわせて説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
別名FIT (=Feed-in Tariff)とも呼ばれるこの制度は、再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電など)の価格を法律で定める制度です。この制度では、再生可能エネルギーの普及を拡大することを目的として、再生可能エネルギーで発電した電気に関しては、定められた期間中は一定の価格での買い取りを保証すると定めています。
バイオマス発電に関しては、使用する燃料ごとに価格が設定されています。たとえば、木質バイオマス発電の場合、最も高い価格がつけられているのは、間伐材を燃料としてつくられた電気です。固定価格買取制度の導入は、安定した運転を期待できるエネルギーとして、バイオマス発電が注目されるようになった一因だといえます。
経済産業省や農林水産省、環境省、あるいはその他関係機関が取り扱っている補助金の制度です。バイオマス発電の導入時のみではなく、導入を計画している段階や、導入して運用を開始させた段階で受け取れるようになっています。つまり、「導入前」「導入中」「導入後」の3段階にわけて交付される制度なのです。
主なメリットとしてあげられるのは「地球環境に優しい」「安定した発電が可能」「燃料を国内で調達できる」という3つ。
植物である木材を燃料とした場合でも、当然ですが二酸化炭素は排出されます。けれども、植物自体が成長する過程では、二酸化炭素を吸収しているため、トータルとしての二酸化炭素は、プラスマイナスでゼロとなります。結果として、温暖化防止に貢献しているかたちとなり、これが「カーボンニュートラル」とも呼ばれる状態です。
また、現状は建材の変化などの影響を受け、国産の木材は、全体的には余っています。そのため、木材を燃料として使用するバイオマス発電は、現在の日本に適した発電方法とも言えるです。輸入に頼らず国産の木材を利用することで、林業が活性化し、さらにはそれが地方の興隆へとつながることが期待されます。
さらに、天候の影響を大きく受けるため、一定の発電量を維持するのが困難な太陽光発電や風力発電とは異なり、木材を燃料とするバイオマス発電は、木材の調達方法さえ確立していれば、安定的に一定量の発電が可能です。
最も大きなデメリットとしてあげられるのは「コストが高い」という点です。
木質バイオマス発電では、さまざまなコストがかかります。燃料自体のコスト・燃料の運搬にかかるコスト・木材をチップなどに加工するコストなどです。ちなみに、これは木質バイオマスの燃料に関するものだけです。他にも、バイオマス発電に対応可能なボイラー本体のコスト・ボイラーを設置するコスト・ボイラーを動かす電気代・ボイラーをメンテナンスするためのコストなどがかかります。トータルだとかなりの高額になり、現状だと採算をとるのが困難なため、固定価格買取制度や助成金制度が設けられているのです。初期費用やランニングコストを計算に入れた上で一定期間稼働させた場合、利益がきちんと出るようになるかどうかが、バイオマス発電が普及するかどうかのカギとなりそうです。
国が定める制度の利用以外では、コスト軽減を図った例があります。例えば、木質バイオマス発電の場合、燃料となる木材の運搬や加工などの工程を一本化したり、複数の木材産業と協力たりする工夫です。このように一工夫必要な点が現状のバイオマス発電のデメリットも言えます。
ここまで、木質バイオマス発電のメリット・デメリットを紹介してきましたが、実は大規模な木質バイオマス発電は、新設するのが難しいという現状があります。ですが、小規模の設備であればまだまだ将来性があるため、木質バイオマス発電の導入自体をあきらめる必要はまったくありません。利益をきちんと出しつつ、ビジネスとしてうまく成り立たせるためポイントなどを併せて紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
2017年にFIT制度(バイオマスなどの再生可能エネルギーを固定価格で買い取る制度)がスタートしてから、バイオマス発電の普及は着実に進んでいます。その内訳をみてみると、大規模な発電所が一部の臨海エリアにかなり集まっている状況がかなり目立っています。主な理由としてあげられるのは、燃料を国内で調達せず、海外から輸入した燃料を使っている発電所が少なくない実態です。燃料は大型船で運ばれてくるため、船を着けやすいエリアに大規模なバイオマス発電所が集中するようになるのは、きわめて自然な現象ともいえます。この現象こそが、これから新しく大規模バイオマス発電を導入するのを困難にしている要因となっています。
つまり、日本国内で建設に適した場所の残りが減ってきているのです。また、FIT制度がスタートした当初は、これほどバイオマス発電が普及するとは国も想定していなかったと言えます。当初計画のおよそ2倍の量にあたる勢いがあり、エリアによっては、発電量がすでに上限に達してしまっている状況があるためです。
上述のような現状を踏まえると、大規模バイオマス発電をこれから新設するのはなかなか難しそうです。では、バイオマス発電の導入を希望している場合はどうすべきなのでしょうか。コストの観点から、小規模のバイオマス発電を選択するのがおすすめの方法です。
特に、山に放置されている間伐材などの未利用木材を燃料として利用すると、FITが定める区分上で優遇されます。つまり、買い取る際の固定価格が高く設定されているのです。たとえば、一般的な木材の場合、kWHあたり24円に設定されています。一方、小規模発電(2,000kW未満のもの)で、さらに燃料に未利用木材を選択した場合は、なんと、kWHあたりの設定が40円です。かなりオトクな価格での売電が可能となるわけです。
経営のためには採算性が必要です。利益をしっかり出せる発電事業を長期にわたって継続するためにも、高い買い取り固定価格はきわめて需要な要素だといえます。
FIT制度が定める売電価格は、発電規模や利用した燃料の種類が考慮されることを説明しましたが、売熱価格には、そういった考慮がなされることはなく、単価は一定です。そのため、売熱の場合には、利用する燃料について、未利用の間伐材に固執するのは、必ずしも得策とはいえません。熱・電トータルでの利益率が少しでもあがるよう、コストと利益を計算した上で、利用する燃料を選択しましょう。
また、小規模のバイオマス発電を事業化して利益を得るためには、燃料の木材を少しでも安い価格で調達しなくてはなりません。そのためには、輸送にかかるコストをおさえるための「集荷エリアの絞り込み」をすることが大切です。特に、未利用間伐材を利用する場合は、遠くのエリアにある森林から運搬するのでは、輸送コストがかなり高くかかります。もちろん、長期的に経営を続けるためには、コスト削減だけでは不十分です。そのためには、常に一定量の燃料を安定的に調達するための「サプライチェーンの構築」が効果的です。サプライチェーンを構築するには、次に述べるような地域との共生が必要となります。
できる限り安い燃料を手に入れるためには、事業を行う地域で、木材の流通状況や相場がどのような状況になっているか、正確に把握することが大切です。そして、地域内の資源を利用する調達方法を選択する場合、地域との密接な連携、つまり共生していくことが、スムーズな経営のためには不可欠です。燃料調達のみならず、プラントの運営、あるいは熱・電気を買う側の産業振興など、効率的な事業形成のためにできる工夫はたくさんあります。
うまく実現させられれば、事業の成功のみならず、地域経済に、大きな貢献をしていることにもなります。例えば、燃料となる木材を森林からプラントまで運搬する運送業や、運ばれてきた木材をチップなどに変える加工業などでは、それまでより多くのスタッフが必要となるはずです。その場合、新たな雇用の創出に貢献している形になるわけです。
また、地域との共生をはかることにより、これまでは、運搬コストその他の理由で使いみちがなかったエリア内の森林に放置されている未利用間伐材の有効利用が、ついに可能になります。不用品ではなく「燃料」という価値が付くわけですから、地域の林業の活性化につながることも充分に期待できます。放置されていた大量の未利用の木材が運び出されれば、森林の整備もしやすくなるはずです。こういったきっかけから、地域社会が大きくプラスの方向へ前進する可能性も決してゼロではありません。
木を選ばない
唯一無二のプラントを持つ
バイオマスエナジー社
木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。
そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。