長崎県の木質バイオマス導入事例

長崎県で木質バイオマス燃料を導入している事例を確認しましょう。長崎県では、木質バイオマスを含む再生可能エネルギー事業について、どのような計画や目標を設定し、推進活動に取り組んでいるのかも紹介します。

長崎県での木質バイオマス導入事例

森林が多くあり、離島も含まれる長崎県には、さまざまな木質バイオマス活用事例があります。既に導入済みの事例だけでなく、導入に向けた調査や計画も確認しましょう。

事例1. 島原市「しいたけ生産での熱活用」

島原市では、しいたけ生産場での熱活用の事例があります。木質バイオマスボイラーで発生させた熱を、しいたけ生産場の暖房や給湯、しいたけの乾燥に活用している事例です。

燃料に使用しているのは、しいたけの栽培に使用している「菌床」の廃棄物。従来のしいたけ栽培では、使用済みの菌床が廃棄物として大量に残り、その処理問題が発生。廃棄物からは廃液や悪臭が発生し、衛生的な問題もありました。

バイオマスボイラーの導入によって、その廃棄物を燃料として活用し、燃料費の削減をすると同時に、廃棄物の処理問題も解決している事例です。

燃焼によって発生した灰は、肥料として利用することで、できるだけ無駄になる廃棄物が少なくなるように工夫しているようです。

事例2. 対馬市「ガス化熱電併給とチップボイラー導入の計画」

対馬市では、「対馬市木質バイオマスエネルギー導入計画」と題して、木質バイオマス燃料を、いくつかの施設に導入するため具体的な調査が行われています。

対馬市内には多くの森林がありますが、小径木や不良木などの低品質な木材が、ほとんど利用されず放置されているのが現状。その問題を解消して、木質バイオマスの利用を促進するための計画です。

計画では「ガス化熱電併給事業」と「バイオマスボイラの導入」の2種類について、具体的に検討されています。

ガス化熱電併給事業は、小規模な発電機を利用した「ガス化発電」と、排熱による「木質チップの乾燥」を行うという内容で、燃料調達に必要なコストや、売電による収益性について、詳しく計算し、計画が進められています。

バイオマスボイラの導入については、ホテルや温浴施設、高齢者福祉施設など複数の施設への導入が計画されており、現状の重油や灯油のボイラーの稼働状況について詳しく調査。既存のボイラーの老朽化状況や、必要な導入費用、投資回収までに必要な年数の計算などが行われています。

森林の未利用材を無駄にしないことで、林業を活性化させるだけでなく、エネルギー源の限られている離島の資源を、できるだけ多く活用するための取り組みです。実際の導入はまだの部分もありますが、今後の動きに期待できる取り組みだと言えます。

長崎県のバイオマス関連の取り組み・補助制度

長崎県では、バイオマス関連事業を促進するために、どのような取り組みや補助制度を設けているのでしょうか。長崎県が設定している長期計画などを紹介します。

長崎県再生可能エネルギー導入促進ビジョン

長崎県では「長崎県再生可能エネルギー導入促進ビジョン」という計画に基づいて、木質バイオマスを含む再生可能エネルギーの利用促進を目指しています。

平成23年にスタートした「ナガサキ・グリーンニューディール推進方針」というプロジェクトの一環としての計画です。ナガサキ・グリーンニューディール推進方針とは、「再生可能エネルギーの利活用」や「省エネ技術の導入」などを推進するために、長崎県が進めている長期プロジェクト。

その一環である「長崎県再生可能エネルギー導入促進ビジョン」では、地域が協力して再生可能エネルギーを導入していくための方針がまとめられています。

「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」「海洋エネルギー」の6種類の再生可能エネルギーについて、推進方針と方策を記載している計画です。

バイオマスについては、発電や熱活用よりも「素材そのものの活用」や「再生利用」を優先。発電に利用する場合には、未利用となっている資源を中心に使用する方針です。

つまり材木や食料など、本来の使い方をする「素材そのものの活用」や「再生利用」を優先しつつ、利用できない部分を燃料として使用する計画をしています。

林地残材など未利用の木質バイオマスについて、安定的に供給できるような体制を検討し、燃料の供給量を計算したうえでのバイオマス発電を推進する計画です。

これから木質バイオマスを導入する企業についても、この計画を参考にすることで、県の方針にマッチした事業計画を進めることができるでしょう。

再生可能エネルギー等施設の設置に関する手続情報の提供

長崎県で再生可能エネルギーなどを利用する施設を設置する場合、許認可などの手続きが必要になることがあります。

長崎県では、公式ホームページに「再生可能エネルギー等施設の設置に関する手続情報」というPDF資料を公開することによって、その手続きを支援。「バイオマス発電」「バイオマス熱利用」「バイオマス燃料製造」に分けて、事業内容ごとに必要な手続きが一覧で確認できるようになっています。

これから長崎県内でバイオマス関連事業を始めようと計画している企業や団体にとって、便利な資料だと言えます。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

木を選ばない
唯一無二のプラントを持つ
バイオマスエナジー社

木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。

そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。

コスト削減の切り札!?
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