木材を賢くリサイクルする方法 » 木材のカスケード利用

木材のカスケード利用

木材のカスケード利用について解説しているページです。

木材のカスケード利用とは

カスケードとは本来、公園などにある階段状につながった小さな滝を意味するもの。木材のカスケード利用といった場合、主に2つの意味合いがあり、まずはそれらを簡単に紹介します。

木材という資源全体の
カスケード利用

木材は最初の段階で建材など木のまま利用されて、次の段階ではパーティクルボードや製紙、堆肥などの原材料としてリサイクルされ、最終的には燃料として使われて灰になり、自然に帰るというサイクルがあります。この多段的な流れを指して、木材のカスケード利用を意味する場合があります。

資源の質を変える
カスケード利用

たとえば、木質資源を木質資源のままリサイクル(リユースではなく)する場合は水平リサイクルというのに対して、細かく砕いてパーティクルボードの原材料とするような、資源としての質を落として再利用する流れをカスケードリサイクルといいます。この場合は資源全体の循環を意味するのではなく、ひとつのリサイクル方法を指したものとなります。

余った木材の
マテリアルリサイクルとは

木材を木のまま再利用する方法や、パーティクルボードや製紙、堆肥などの原材料として再利用する方法を総称してマテリアルリサイクルと呼びます。

資源をできるだけ使い回すという意味では有意義なリサイクル方法ではありますが、費用対効果やマーケットニーズなども踏まえると、事業としての成長性が見込める分野は限定されるという実状もあります。

余った木材の
サーマルリサイクルとは

木材由来のバイオマスを燃料として、それを焼却する際に発生する熱エネルギーを電気や蒸気などに変換する利用方法がサーマルリサイクル。資源はマテリアルリサイクルしたとしても、最終的には廃棄処理する必要があり、サーマルリサイクル施設は不可欠な存在ともいえます。

国や地方自治体なども普及促進に積極的で、手間やコスト面といった事業性でもサーマルリサイクルには優位性があります。また、CO2排出量は、もともと植物が蓄積していた炭素が大気中に戻るだけでプラスマイナスゼロ。これをカーボン・ニュートラルといいます。

余った木材をリサイクルする仕組みとは?

建設業者や木製品製造会社など、さまざまな業種の企業が出す木材の産業廃棄物にはいくつか種類があります。その一部はリサイクル業者が回収し、工場でリサイクル原料へと加工されます。木材の状態や性質に応じて、チップ化されることもあれば、ファイバー化、あるいはペレット化されるなど、加工品の種類もさまざまです。

それらのリサイクル原料は、紙、家具、家電、建材などの分野で活躍中。特に建材としては、断熱・防音・湿度コントロールなど、非常にすぐれた特性をもつ素材として人気があります。また、ペレット化された木材は、主に燃料として使われるのが一般的です。化石燃料と異なり、カーボンニュートラルなので、地球環境に負担をかけない燃料だといえます。

製材工場でのカスケード利用はどのようなものか

樹木を切り倒した後に枝や先端部分は材木以外の用途としてカスケード利用されています。ですが、丸太として運ばれ、製材工場に行った後も、カスケード利用は行われるのです。

製材工場でのカスケード利用の大まかな流れ

製材工場には切り倒した樹木で丸太として利用できる部分を納入。丸太から板や角材に加工するのですが、丸太の外側は丸みがついているので、角材としては使用できません。そのため、丸太から角材を切り出すと、片側だけ丸みのある「背板」と呼ばれる木材が残ります。

削り出された背板は紙を作るためのパルプ用のチップ(木片)として製紙工場へ運搬。紙の製造のためには大量のチップが必要になるため、背板から作られたチップは余すことなく利用されます。

他にも、製材工場では丸太を削った際に出てくるおが屑と樹皮が、小さな円筒状に加工された「木質ペレット」として活用されます。木質ペレットはストーブなどで使用される燃料ですが、自然由来の素材のため、燃やしても二酸化炭素を排出ではなく、戻るだけです。また、水分量が少ないため着火性も良いため、ペレットストーブとして個人レベルで暖房として使用したり、火力発電所で石炭と併せて使用されます。

製材工場に持ち込まれた丸太は、樹皮から背板、おが屑にいたるまで、余すことなくカスケード利用されています。

バイオマス発電とカスケード利用

近年研究が進んでいるバイオマス発電ですが、実はバイオマス発電と木材のカスケード利用は密接に結びついています。

バイオマス発電とは、従来の石炭などを燃やす火力発電とは違い、木などの生物資源を燃やすことで発電する方法のこと。自然由来の発電方法のため、二酸化炭素の発生に代表される環境への影響が少なく、再生可能エネルギーとしても注目されています。

一口にバイオマスと言っても、何を使用するかによって、植物系バイオマス・家畜系バイオマス・食品系バイオマス・木質系バイオマスなど、さまざまな種類に分類されるのです。

近年注目を浴びているのが「木質系バイオマス」

木から作られる木質系バイオマスに関しては、近年注目度が高まっています。それは、原材料となる樹木が多いことと、建築を始め使用用途が多く、それに伴って出てくる樹皮やおが屑などがバイオマス燃料のもととなるため、わざわざ個別に燃料を生産する必要がないためです。

また、木質系バイオマスは、木が育つ過程で二酸化炭素を消費しているため、二酸化炭素を生み出してもその分また吸収するという「カーボンニュートラル」という考えに適しています。木質系バイオマスが普及し、石炭火力にとってかわることができれば二酸化炭素の排出量が抑えられるのではと考えられているのです。

木質系バイオマスの起点ともいえる木材のカスケード利用は、木材のリサイクル利用に関して重要なポジションを占めていると言えるでしょう。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

木を選ばない
唯一無二のプラントを持つ
バイオマスエナジー社

木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。

そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。

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