木材チップ・木質チップの含水率について知る

木材チップの燃料としての価値を左右する含水率について重要性や計算方法をまとめました。

水分と燃料品質の関係性・重要性

木材チップの含水率は、その燃料としての品質に直接的な影響を与えます。含水率が高いほど、燃焼時の熱効率は低下し、必要なエネルギーを得るためにより多くのチップが必要です。そのため、効率的なエネルギー利用のためには、含水率の適切な管理が不可欠。この含水率がエネルギー変換効率に及ぼす影響の理解は、木材チップを燃料として最大限に活用するために重要な知識となります。

水分管理がバイオマス燃料に大切な3つワケ

バイオマス燃料、特に木材チップを使用する際、水分管理は非常に重要な役割を果たします。木材チップの含水率を適切に管理することで、燃料としての価値を引き出し、環境への影響を最小限に抑えることができます。ここでは、水分管理がバイオマス燃料にとって大切な理由を3つ紹介します。

熱量のアップに貢献してくれる

木材チップの含水率が高いと、燃焼時に水分を蒸発させるためのエネルギーが必要となり、その分、有効に利用できる熱量が減少します。逆に含水率を適切に低く保つことで、蒸発に必要なエネルギーが減り、より多くの熱量を得ることができます。つまり、木材チップの熱効率を上げるためには、含水率の管理が欠かせないのです。

乾燥にかかるコストカットに繋がる

木材チップを乾燥させる過程は、エネルギーを多く消費するため、コストがかかります。しかし、元から含水率が低い木材を選ぶことや、効率的な乾燥方法を採用することで、乾燥に必要なコストを削減することが可能です。また、自然乾燥に頼ることも、コスト削減に有効な手段の一つです。適切な水分管理によって、乾燥コストの削減に繋げることができるのです。

環境への配慮に繋がる

木材チップの含水率を適切に管理することは、環境保護にも貢献します。含水率が高すぎると、燃焼時に不完全燃焼を起こしやすくなり、その結果、大気中に有害物質が放出されるリスクが高まります。適切な水分管理によって、これらのリスクを低減させ、よりクリーンな燃焼を実現することが可能です。これにより、バイオマス燃料の環境負荷を低減させることができるのです。

木質チップ・木材チップの含水率とは

木質チップ・木材チップの含水率とは、文字通りチップ内に存在する水分の割合を示し、エネルギー効率や燃料としての品質を決定づける重要な要素です。利用目的によって適切な水分保持量も変わるため、木材チップを効率的に使用するため把握は不可欠。また、含水率の適切な管理は、燃焼効率の最適化、輸送コストの削減、保存期間の延長など、多くの利点に繋がります。

2種類の含水率計算法

含水率を測定するには、主に2つの計算方法があります。これらの方法は、水分の量をどのように計算するかによって異なります。

乾量基準含水率

乾量基準含水率は、木材を完全に乾燥させた状態（乾燥重量）と、元の湿った状態（湿潤重量）との差を基に計算。この方法では、乾燥木材の重量を100%として、元の重量からどれだけ水分が含まれていたかを示します。この計算法は、木材の実際の水分量を正確に知ることができるため、木材を乾燥する工程や品質管理に広く用いられます。

湿量基準含水率

湿量基準含水率は、湿潤重量を基にして、木材内の水分量を計算する方法です。この計算では、湿潤重量を全体とし、その中の水分の割合を示します。湿量基準含水率は、特に木材を燃料として使用する際に、燃焼効率やエネルギー効率の評価に役立つ指標とされています。木材の取り扱いや輸送時にも、この含水率が重要な考慮事項となります。

含水率を計測するために水分計の種類を知る

分計にはいくつか種類がありますが、ここでは2種類の水分計について紹介しています。

電気抵抗型水分計

電気抵抗型水分計は、木材チップ内の水分によって変化する電気抵抗を測定することで、水分量を推定します。このタイプの水分計は、操作が簡単で迅速に測定結果を得られるため、現場での使用に適しています。しかし、木材の種類や温度などの条件によって測定値が変動する可能性があり、精度を確保するためには適切な補正が必要です。

赤外線水分計

赤外線水分計は、木材チップから反射または透過した赤外線の量を分析することで水分量を測定します。水分が赤外線の吸収や反射に影響を与えるため、この方法を用いると迅速かつ非破壊的に水分量を推定することができます。精度は高いですが、機器の価格が高価であることや、専門知識が必要となる場合があります。