木質バイオマス発電で発生する灰の処理方法

木質バイオマス発電において発生する灰を、適切に処理することは重要です。発生する灰の種類と、それぞれの処理方法について、詳しく解説します。

木質バイオマス発電の灰の種類

木質バイオマス発電では、木質チップなどのバイオマスをボイラーで大量に燃焼させます。ボイラー内やフィルター部分などに灰が発生し、廃棄物として蓄積されるてしまうのです。

木質バイオマス発電の灰は、発生する場所によって、主に以下の2種類があります。

燃焼炉で発生する「主灰」

「主灰」とは、燃焼炉の燃えカスとして発生する灰のことです。木質バイオマス発電においては、ボイラーの火床部分に蓄積されます。

燃焼によって飛び散った灰ではなく、炉底に落下した灰が「主灰」です。「ボトムアッシュ」とも呼ばれます。

フィルターなどで発生する「飛灰」

ボイラー内の燃焼によって舞い上がった灰が「飛灰」です。「フライアッシュ」とも呼ばれます。

飛灰は、そのまま煙突から出てしまうのではなく、フィルターで集められ、外部への飛散されないように対策されています。多くの木質バイオマス発電施設では、ボイラーの排気が「マルチサイクロン」と呼ばれる集塵装置を通過した後、「バグフィルター」を通過して、煙突から外気に放出されます。

マルチサイクロンで集められた灰を「サイクロン飛灰」、バグフィルターで集められた灰を「フィルター飛灰」と呼びます。

木質バイオマスのボイラー灰の処理方法

木質バイオマス発電で発生する灰は、どのように処理すればよいのでしょうか。

産業廃棄物として処理する

木質バイオマス発電で発生する灰には、鉛やカドミウム、水銀などが含まれていることがあります。そのような重金属が含まれる灰は、産業廃棄物として処理するのが一般的です。

これは、ボイラーの燃焼効率を高めるために石炭を混合して燃焼させた場合や、建築廃材等に由来する木質バイオマスの場合があるため、灰に多くの有害物質が含まれているのです。また、産業廃棄物ですので、法律に従った方法で廃棄する必要があります。

灰の種類によって処理方法が異なる

木質バイオマスのボイラー灰は、「主灰」と「飛灰」で処理方法が異なるという点に注意しましょう。

産業廃棄物の処理方法は、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)によって定められており、主灰は「燃え殻」、飛灰は「ばいじん」に分類されます。

いずれの灰も、運搬の際に有害物質が飛散することを防ぐために、コンクリートなどで固めてから処理する必要があります。

リサイクルの道もある

木質バイオマス発電によって発生する灰を、捨てる場合は「産業廃棄物」ですが、適切に加工してリサイクルすれば廃棄物ではなくなり、資源の有効活用につながります。

実際、木質バイオマス発電によるボイラー灰から抽出した成分を、肥料として使うなどのリサイクル方法が検討されているのです。セメントの原料として利用されることもあります。

木質バイオマス発電施設は、できるだけ廃棄物を減らす工夫をしながら稼働させることで、ゴミ問題にも配慮しながら運用することが大切です。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

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