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木くずの再利用

産業廃棄物の中から木くずにフォーカスして、再利用方法や仕組みと活用事例などを紹介しています。

木くずの処理方法

環境省が公開している調査データ「平成 30 年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 平成29年度速報値」から、「産業廃棄物の種類別排出量」をピックアップして、平成28年度と平成29年度の推移を見てみましょう。

平成28年度 平成29年度
排出量(千t/年) 割合 排出量(千t/年) 割合
汚泥 167,316 43.2% 166,889 43.3%
動物のふん尿 80,465 20.8% 77,894 20.2%
がれき類 63,587 16.4% 66,055 17.1%
ばいじん 17,373 4.5% 17,128 4.4%
鉱さい 14,089 3.6% 13,706 3.6%
金属くず 8,221 2.1% 8,089 2.1%
ガラスくず、コンクリート
くず及び陶磁器くず
8,002 2.1% 7,957 2.1%
木くず 7,098 1.8% 7,304 1.9%
廃プラスチック 6,836 1.8% 6,817 1.8%
廃油 3,049 0.8% 3,004 0.8%
その他の産業廃棄物 10,999 2.8% 10,794 2.8%
387,034 385,636

全体量は減っていて、種類別の順位は変わっていない中、がれき類と木くずは増えているのが目を引きます。それぞれの分野で廃棄物を減らす取り組みは行われているものの、木くずの再利用についてはまだまだ対策の余地があるといえそうです。

参照元:環境省(https://www.env.go.jp/recycle/H29産廃排出・処理状況調査報告書190318.pdf)

再利用できる木くずとその活用事例集

バーク

バークとは、「木の皮」、つまり樹皮を意味する単語です。バークは、発酵して「バーク堆肥」に加工されたり、あるいは高い吸着性をもつ「バーク炭」などに加工されて使用されます。また、バイオマス燃料としても活躍。ちなみに、国際エネルギー機関が定める区分上では、工場廃材に該当します。

茨城県常陸太田市で粉砕バークやバーク炭を製造している「森林バイオマス再利用促進施設」や、埼玉県長瀞町で埼玉木材チップ協同組合が取り組む「木質樹皮舗装」などの再利用事例も紹介しています。

おが粉

おが粉は、畜産場や酪農場などで管理されている動物がいる施設で、畜産資料(床敷きなど)として役立つ粉状の木材です。他には、きのこをポット栽培する際、菌床として利用される倍もあります。また、バイオマス燃料として用いられる際には、粉末を圧縮加工して、便利な形態にします。オガライトと呼ばれる燃料です。

全国各地で取り組んでいるオガライトの活用事例に加え、民間企業が行っている「おが屑ガス化コージェネレーションシステム」などについても説明しています。

チップ

小さく破砕されたり切削されて加工されてた木材はチップと呼ばれ、紙の材料として利用されています。紙の原料がパルプであることは有名ですが、そのパルプは木材の繊維からとられたものです。そして、その繊維は、木材のチプから抽出されています。また、ファイバーボードの原料として、あるいは、断熱性や吸音性のある優秀な建材としても広く活躍している素材です。

このページでは、北海道のクリーニング工場や町役場、町民プールなどで木質チップボイラーを活用している事例などもご紹介します。

間伐材

森林の状態を良好に保つために伐採された木材が間伐材です。その中で、質が良いものは、無垢の建材として利用されるといった用途があります。しかし、森林からプラントへの輸送が、道路整備や運搬コストなどの点から難しい場合も多く、放置されたままになっている間伐材が多いのが現状です。少しずつ放置されないための施策がなされ、改善されつつあるため、今後は間伐材がバイオマス燃料として活躍する割合の増加が見込まれています。

ここでは、群馬県前橋市や青森県平川市、岡山県真庭市などで、地元の森林資源である間伐材をバイオマス発電のために有効活用している事例もご紹介します。

建築廃材

建築廃材とはその名の通り、建物を解体した後などに発生する廃材です。形状や状態がさまざまであるため、再利用方法も多岐にわたります。例えば、廃材が未使用のような状態であれば、製紙用のチップに加工されます。また、RPF燃料などの固形燃料として、あるいはセメント原燃料として再利用されることも。バイオマス燃料としてボイラーや発電機の燃料として有効活用されています。

このページでは、岐阜県高山市にある木製家具メーカーや北海道の温泉宿泊施設で、バイオマスボイラーの燃料として建築廃材を再利用している事例について紹介しています。

パームヤシ殻

インドネシアやマレーシアなどで生産されているパームヤシ。このパームヤシからパーム油を取り除いたものがつまり「パームヤシの殻」です。また、発熱量が多いため、発電出力の低さが問題となっている中規模の発電所などで、混焼するために用いられるケースもあります。

福岡県豊前市(事業主:豊前ニューエナジー)と神奈川県川崎市(運営:株式会社バイオマスパワー)で、それぞれパームヤシの種殻などの廃棄物を木質燃料として再利用している発電所の事例を紹介しています。

もみ殻

吸水性や通気性などの優れた特性を生かして、畜産分野や農業分野において重宝されているもみ殻。さらに、もみ殻は米の製造工程とのつながりが強いため、水田が多い地域などでは、さまざまな再利用のされ方が見受けられます。その一例として、富山件射水市の例を紹介しています。また、もみ殻は燃料としても利用可能です。ここでは、具体例としてタイのもみ殻焚きボイラー施設でのバイオマス発電について紹介しています。ただ、もみ殻の灰には他のバイオマス燃料よりも多くの灰分が含まれています。そのため、利用するプラントが限られます。その点は注意が必要です。

剪定枝

剪定枝には、性質や形状のバラつきなどから、加工して再利用するには手間がかかりそうなイメージがあります。実際そのような側面もありますが、いくつかのリサイクル方法が考えられており、実証実験が進んでいる段階です。また、すでに実際にリサイクルに利用されている事例もあります。たとえば、土壌を改良するための材料として活用されている事例やバイオマスボイラーや足湯の燃料として活用されている事例、また、バイオマスガス化発電システムでの活用事例などです。これらの事例を紹介していきます。

木くずの区分と種類

木くずはいくつかの観点から、「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の2種類に区分されています。前者の産業廃棄物される木くずは、事業者が排出されるもののうち、有害性などを考慮した場合に汚染者の負担が大きいと考えられるものが該当。産業廃棄物として区分された木くずは、それを排出した事業者が責任をもって処理しなくてはならないと決められています。

具体的に、どのような木くずが産業廃棄物なのか、あるいは一般廃棄物なのでしょうか?それぞれ具体例をまとめました。

産業廃棄物の具体例

法律における産業廃棄物とは、事業で発生した燃え殻・汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・廃プラスチック類・政令が定める廃棄物を指します。

  • 建設業に係る木くず
  • 木材又は木製品の製造業(に係る木くず
  • パルプ製造業に係る木くず
  • 輸入木材の卸売業に係る木くず
  • 事業活動から生じたPCBが染み込んだ木くず

一般廃棄物の具体例

法律における一般廃棄物とは、産業廃棄物以外の廃棄物を指します。

  • 廃木製パレット
  • 剪定枝、伐採木
  • 流木
  • 木製製品
  • その他の木くず

木材の再利用・リサイクルの一般的な流れ

基本的に、建築廃材・角材・板類や輸送や、物流において大量に使用される木製パレット・すのこ・その他さまざまな木くずは、再利用・リサイクルするために、トラックに積み込んで運搬されます。その後、木材廃棄物が再利用・リサイクルされる際、どのようなプロセスをたどるのでしょうか。事業所に搬入してから、製品が完成するまでの流れをみてみましょう。

再利用・リサイクルされるまでの3ステップ

ステップ1. 選別および異物の除去

重機を使って、ストックヤードなどに保管してある木材の廃棄物を、製紙に利用するものと燃料に利用するものとに分別します。2つに分けた木材を搬送機に搭載。また、木材に付着している不純物などの異物があれば、このときに除去します。大切な品質管理の一貫として慎重に行われます。

ステップ2.木材の破砕

ハンマーシュレッダを用いて木材を破砕。破砕された木材は、製紙に使うためのチップと燃料に使うためのチップへと加工されます。

3. サイズを選り分ける

釘や鉄くずなどといった鉄製の異物が残らないように、磁力選別機を用いて除去していきます。さらに、ふるいにかけて適切なサイズに選別。大きすぎるものは規格に合わないため、ふたたび破砕します。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

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