バイオマスとSDGs

そもそも「SDGs」とは?

そもそも「SDGs」とは「持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals」の頭文字を取った略称であり、「エスディジーズ」と呼びます。

SDGsは2015年9月に開催された国際サミットにおいて、「地球上の誰一人として取り残さない」というテーマにもとづいて採択された目標であり、2016年から2030年までの間に実現・達成することが目指されています。

SDGsには貧困の解決やエネルギー問題の解決、環境の改善や保護など、それぞれのジャンルごとに「17の目標」が定められており、さらにそれぞれの目標にはより詳細な目標が定められていることも特徴です。

関連性の高いSDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を考える

SDGsの掲げる達成目標の内、特にバイオマス燃料の利活用や普及に関連している項目として「目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」が存在します。

当該目標は、地球上に生きる全ての人にとって、信頼できて、かつ将来的に持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを実現・確保するという目的がベースとなっています。

現状、世界中では石油や石炭などの化石燃料を活用した火力発電や、放射性物質を活用した原子力発電、風力や太陽光のように自然エネルギー(再生可能エネルギー)を活用した発電システムなどが利用されていますが、例えば化成燃料を利用した火力発電では二酸化炭素排出や有害物質の排出といった環境汚染リスクが発生し、また資源としての化成燃料の枯渇リスクも無視できません。

そのためSDGsの目標7では、環境負荷を軽減し、さらに将来的に持続可能な近代的エネルギーとして、再生可能エネルギーの活用に注目しています。

SDGs目標7の概要をおさえる上で大切な3つのポイント

具体的にバイオマス燃料の活用によってSDGsの目標を叶えていくとして、その際に注意すべきポイントがあります。ここでは、SDGs目標7の概要に関連させながら、どのようなポイントに気をつけるべきか考えておきましょう。

誰もが電気を使える環境を整える

SDGsが重視するテーマの一つとして、世界中から差別や貧困、格差といった問題を解消し、誰もが公平で平等に幸せや文明の恩恵を享受できるような仕組みや体制の構築を目指すといったものが掲げられています。

そのため、バイオマス燃料の活用によってクリーンな発電システムを開発するとしても、それが先進国や一部の限られた富裕層エリアなどにしか影響できず、貧困エリアでは依然として状況が改善されないといったままでは本末転倒です。

まずは誰もが不自由なく電気を使えて、その恩恵を得られる環境づくりを考えていかなければなりません。

加えて、電気によって人々が日常的にどのような目的を叶えられるのか、その実態について意識を巡らせることもポイントです。電気は、電化製品がなければ活用することができず、ただ電気だけがあっても有効利用できません。電気利用のシステムについても一緒に検討していきましょう。

再生可能エネルギーを活用する

石油や石炭といった化石燃料は、消費することで二酸化炭素のような温室効果ガスを発生させたり、周辺地域の環境汚染リスクを増大させたりといっただけでなく、そもそも使っていくと減っていくという物理的な数量の問題も抱えています。

そのため、将来的に持続可能なエネルギー供給を目指そうとすれば、どうしても再生可能エネルギーの有効活用が重視されていくでしょう。

あるいはバイオマス燃料のように、そのままであれば廃棄物として処分される予定だったものへ再び価値を見出す、リユースやリデュースの精神も大切です。

再生可能エネルギーやそれに類するエネルギーの活用を考える上で、二酸化炭素総量の増加やどれだけの期間そのエネルギーを持続させられるのか、またエネルギー源としての利用しやすさ。回収しやすさなど、様々な点から多角的に検証しなければなりません。

エネルギー利用において地球に負荷を与えない技術を向上させる

どれほど優れたエネルギー供給効率を得られようとも、我々が暮らしている地球の環境そのものが悪化して不毛な大地と化してしまえば、必然的にこの地球上で暮らし続けることも困難となります。

地球環境や地球の資源に負荷を与えることなく、自然と共存しながらも十分なエネルギーを提供するための技術開発や研究が期待されています。

SDGsで注目されるバイオマス燃料の種類とは?

持続可能な世界の実現に向けたバイオマス燃料の活用が注目されているとして、実際にバイオマス燃料として利用されているものにはどのような種類があるのでしょうか。

ここでは一般的なバイオマス燃料の種類について解説しています。

未利用系バイオマス燃料

未利用系バイオマス燃料とは、木質ペレットや薪といった、燃料としての有効性がありながら利活用されることなく放棄されていたような燃料を指します。間伐材や商品として利用できない木材などを薪にして燃やしたり、木質ペレットとして加工したりすることで、新たな資源を消費することなく燃料としてエネルギーを生み出すことが可能です。

また、木材を燃やした後に残る木炭も未利用系バイオマス燃料の一種に分類されます。木炭は煙が出ず、高火力を維持できることから、産業分野だけでなくキャンプやバーベキューを楽しむ人に活用されるなど、民間人の一般利用などにも使われることがポイントです。

なお、木質ペレットや木炭については消臭効果を利用した消臭剤としての利用法なども注目されています。

廃棄物系バイオマス燃料

廃棄物系バイオマス燃料とは、文字通り通常は活用されることなく廃棄物として処理されなければならないようなものを資源として利活用した燃料です。

例えば動物の排泄物や食品工場から排出される廃棄油、各家庭から出る使用済み油といったものが廃棄物系バイオマス燃料として考えられるでしょう。

動物の排泄物はバイオガスを含んでおり、バイオガスは主成分としてメタンを始めとして、様々なガスが含まれています。その中でもメタンガスは燃焼性ガスとして利用することが可能であり、国際的には都市ガスとして利用されているケースもあります。

また、工場から出る廃棄油や家庭から出る使用済み油といったものは、軽油を利用して走行するディーゼル車の燃料として代替的に利活用できることがあり、それらはバイオディーゼル燃料として区別されていることがポイントです。

バイオディーゼル燃料は二酸化炭素排出をゼロに抑えられる上、生分解性を持つことで環境に優しいことも強みです。

資源作物系バイオマス燃料

資源作物系バイオマスは、例えばミツバチの巣から採れるミツロウや、植物の種子などから採れる油などを活用した燃料であり、バイオエタノールと呼ばれることもあります。

一般的にバイオエタノールはガソリンなどの液体燃料に混合して利用し、バイオエタノールを活用することで総合的な二酸化炭素排出量を軽減しつつ、石油燃料の使用量を節約できるといったメリットがあります。

その他、バイオエタノールを消毒用エタノールとして利用することもあるでしょう。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

木を選ばない
唯一無二のプラントを持つ
バイオマスエナジー社

木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。

そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。

コスト削減の切り札!?
木質バイオマスの
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