木質ガス化システムの仕組みとは?

ここでは、ガス化システムについて解説しています。「ガス化とはそもそもどういったシステムなのか」「ガス化を効率的に行う方法」などについて紹介しているので、ボイラー導入を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

ガス化システムの概略

ガス化システムのしくみ

ガス化する際に用いる燃料は、木質バイオマスを加工したチップあるいはペレットです。その燃料を、ガス化炉で蒸し焼きにすると発生するガスが、発電用エンジンの動力となります。

この方式を利用した発電は、ヨーロッパやアメリカでは、1,000基を超える多くの実績があります。また、東南アジアにおいても、開発が進みつつあり、導入事例も少なくありません。

海外におけるガス化システムが普及している状況にある理由として考えられるのは、「発電効率の良さ」です。発電能力が20kW~400kWという小型のものが利用されているのですが、発電効率が高く、20パーセント~30パーセントにも達します。

現段階では熱電併給が効率的

小型発電によるガス化システムの発電効率がすぐれている特徴は先述のとおりですが、「熱」についても要チェックです。というのも、発電出力のおよそ2〜2.5倍もの熱回収が可能だからです。そのため、電気と熱をトータルした場合の「総合効率」は、70パーセント〜80パーセントにもおよびます。熱利用をする場合には80~90度の温水という形で供給されることがほとんど。温水は、きわめて幅ひろい用途が見込める商品だといえます。

木質バイオマス発電をするのであれば、ガス化による発電だけではなく、熱電併給のほうが、現段階ではより効率的であることは明らか。これからガス化システムのボイラーを導入する場合は、エネルギーのロスが圧倒的に少ない「電熱併給」がおすすめです。

小型ガス化システムによるバイオマス発電の特性をチェック

ここまで紹介してきた小型ガス化システムによるバイオマス発電が持つ特性についての再確認と、さらにおさえたおきたい情報を5つにまとめました。

  • 発電のみでも効率は高いが、熱をあわせたトータルのエネルギー効率はさらにアップ(70パーセント~80パーセント)する。
  • 比較的容易にスタートできる。たとえば、求められる有資格者は「電気主任技術者」のみ。また、オペレーターを常駐させる必要がないので、スタッフ手配の負担が少ない。
  • 機械的なトラブルが発生しにくい。
  • 設備の規模が小さいので、広い接地面積を用意する必要がない。
  • 標準型設備を複数台並べると、簡単に出力を増加できる。

ボイラーを導入するなら熱電併給可能なものを選択

国内で導入する際のイメージ

規模が小さいという特性を生かし、ガス化発電を小規模の熱利用に転用することが可能です。実際、国内のさまざまなところで既に導入されています。たとえば、温浴施設や宿泊施設です。温水として供給される熱の利用の仕方としては、代表的だといえるでしょう。

他にも、温水を利用した活用方法として、冷暖房やプールの加温、食品加工などがあげられます。地産地消型の、規模の小さいエネルギーシステムとしての適性が高いといえます。

さらに、木質燃料の乾燥設備、あるいはハウス栽培などでの利用に関しても、これから検討・実例が増えていくことでしょう。

海外の熱電併給における議論

バイオマス発電においては日本よりも先進的であるといえるヨーロッパの一部の国々では、熱電併給については、どのような議論がなされているのでしょうか。

もともと木質エネルギー分野では、「熱電併給をもっと推し進めるべき」という主張がありました。ただ、それは発電サイドから発せられていたものが大半でした。 木質バイオマスを燃料として行われる発電では、最大でも燃料のエネルギーの30%までしか電気にかえられないことを痛感していたからでしょう。30パーセントというのは決して低い数字ではないのですが、それでも、約70パーセントものエネルギーが捨てられているという事実にはかわりありません。「発電排熱を有効活用するべきだ」といった主張はもっともだったのですが、聞き流されてしまうだけで終わっていました。

しかし、近年になって、この状況に大きな変化が訪れます。それは、燃焼機器の進化により、バイオマス燃料の燃焼率がさらに向上したためです。バイオマス燃料が有する熱エネルギーの、なんと90パーセント以上が有効利用されることになります。ですが、これさえも文句なしの選択肢、というわけではありません。

バイオマス燃料の燃焼により、発電できるほど高温な熱。「それほど高温だった熱を、わざわざ低くして熱利用にあてるのはもったいない…」このような声もあがっているためです。

温水に比べて、電気はきわめて汎用性の高いエネルギーです。熱供給のバイオマスプラントであっても、「まずは電気を取り、給湯や空調での熱利用については、発電排熱でまかなう」のが、本来とるべき「もっともロスの少ない方式」だという考え方です。もちろん、この主張は電熱併給自体を否定するものではありません。熱電併給の効率が極めて高いことは、数字を見れば明らか。そのため、全面的な否定はかなりムリがあるのが実情です。

熱電併給が可能なプラント

このサイトには、熱電併給に対応したプラントの見学記事があります。興味がある人は、ぜひ目を通してみてください。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

木を選ばない
唯一無二のプラントを持つ
バイオマスエナジー社

木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。

そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。

コスト削減の切り札!?
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