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木質バイオマスとしての活用

木材利用によるCO2削減と
木質バイオマスとしての活用

木材は、二酸化炭素(CO2)削減に多大な貢献ができる自然資源として注目されています。木材が持つCO2吸収効果と、使用後の廃材を有効活用するリサイクル方法について具体的に説明していきます。

木材のCO2吸収と炭素固定の効果

木材は成長過程で大気中のCO2を吸収し、その内部に炭素を蓄積していきます。この炭素を固定する特性が、木材の「炭素貯蔵効果」として知られており、木材が使用されるまでCO2を放出しないという環境に優しい性質を持っています。

木材がCO2を吸収し固定するメカニズム

樹木は光合成を行う過程でCO2を取り込みます。光合成とは、樹木が太陽光のエネルギーを使って水と二酸化炭素を取り込み、酸素を放出するプロセスです。このとき、吸収されたCO2は樹木の細胞内に固定され、成長するにつれてさらに多くの炭素を貯蔵することが可能になります。こうして成長した木材は、自然の中で重要な炭素貯蔵庫として機能し続けます。

建材としての木材がCO2削減に寄与する理由

木材が建材として活用されると、その建物全体が長期間にわたって炭素を固定する「貯蔵庫」としての役割を果たします。コンクリートや鉄鋼のような他の建材は製造時に多くのCO2を排出しますが、木材はその逆で、大気中のCO2を吸収して閉じ込める働きをします。そのため、木造建築物を増やすことでCO2排出量の削減が期待され、温暖化対策の一環としても有効です。

その他の木材利用のメリットや意義

木材の利用は、CO2削減だけでなく、環境保護や社会の持続可能性に大きく貢献します。下記で詳しく紹介します。

SDGsの一環になる

木材利用は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に直接的に貢献する重要な要素です。まず、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」の達成に貢献します。木材は、成長する過程で大気中のCO2を吸収し、伐採された後も木材として使用される限り炭素を固定し続けます。

例えば、木材を建築資材として使うことで、他の高エネルギー資材(鉄やコンクリートなど)に比べ、製造時に排出されるCO2が大幅に削減。これにより、建設業界のCO2排出削減に繋がります。

木材の使用はSDGs目標15「陸の豊かさを守ろう」とも関連しています。森林の管理と伐採を通じて、持続可能な形で木材資源を活用しながら、森林の再生や保全を促進にも貢献。特に国産材の利用は、違法伐採や過剰な森林開発を防ぎ、国内の森林資源を持続可能に管理するための重要なステップです。また、地域の森林管理は、土壌や水資源の保全、生物多様性の維持にも貢献します。

加えて、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」にも関係しています。木材産業は、多くの雇用機会を提供し、地域経済を支える役割を果たしています。特に林業や木材加工業は、地方経済の発展に寄与し、持続可能な発展モデルを提供します。このように、木材利用はSDGsのさまざまな目標達成に向けた重要なアプローチの一つであり、環境だけでなく、社会や経済の発展にも貢献する点が大きな特徴です。

循環型社会に繋がる

木材利用は、資源の効率的な利用とリサイクルを基盤とする循環型社会の形成において、重要な役割を果たします。特に、国産材を利用することは、国内の森林の持つ多面的な機能を発揮させ、持続可能な社会を実現するためのカギとなります。

森林はCO2の吸収・固定機能を持つだけでなく、雨水を蓄える水源の涵養、生物多様性の保全、土壌の保護など、数多くの環境的な恩恵を与えています。定期的な伐採と植林を適切に行うことで、森林は健康な状態を保ちつつ、資源としても持続的に利用できる状態になります。

木材は再生可能な資源のため、その使用後もリサイクルや再利用ができるという点で他の資材と比べて優れています。例えば、廃材から新しい木製品を製造したり、バイオエネルギーとして利用することができ、廃棄物を最小限に抑えつつ、再利用が進められます。これにより、循環型社会の形成が加速され、持続可能な資源管理が実現します。

また、国産材の利用は、国内の林業を支え、地域経済の活性化に貢献する点も重要です。国産材を積極的に活用することで、輸入材に頼らず国内の森林資源を適切に管理しながら、地域での雇用を創出し、経済活動を循環的に展開することが可能です。結果として、経済、社会、環境の3つの柱を調和させた持続可能な社会の実現に寄与します。

木材を活用することで社会に貢献しつつ、ビジネス的な観点で見ても自社に恩恵があるといえるでしょう。

木質バイオマスエネルギーとしての再利用とその効果

木材が寿命を迎えた後でも、廃材や伐採された木々をエネルギーとして再利用する方法があります。それが「木質バイオマスエネルギー」です。木質バイオマスは、再生可能なエネルギー資源の一つであり、燃やすことで得られるエネルギーは、化石燃料の代替として活用することができます。

木質バイオマスは、使用されると再びCO2を排出しますが、木が成長する際に吸収したCO2の量とバランスが取れるため、カーボンニュートラルなエネルギー源として広く認識されています。木材を利用したエネルギーの循環は、資源を無駄にせず、環境負荷を最小限に抑える持続可能なエネルギー利用の形といえるでしょう。

木材の利用は、成長時のCO2吸収から最終的なエネルギー利用に至るまで、全体的に環境保護とCO2削減に貢献できる重要な手段です。木材の持つ多面的な可能性を最大限に活用することで、より持続可能な社会の実現が期待されます。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

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バイオマスエナジー社

木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。

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