sponsored by バイオマスエナジー社
バイオマス発電所をはじめ、複数の場所で資料される「木質燃料」。そこで気になるのが、放射能に汚染されてしまった木質の使用です。微量でも放射能汚染された木質燃料を使用すると、放射性物質が濃縮されてしまうというのは本当なのでしょうか。もしそうなら、どのように対応すべきなのでしょうか。
まずは、この記事で取り上げる「放射能汚染された木質燃料」とは何か、基本をおさらいしておきましょう。
放射能汚染された木質燃料は、原発事故によってバラまかれた放射性物質が、木質燃料を採取する森林の木々に付着することによって発生します。
日本でも原発事故は起こりましたが、1986年のチェルノブイリ原発事故の際にも広範囲の森林に放射性物質が飛散し、木質燃料の汚染が問題となりました。
汚染の度合いはエリアごとにさまざまで、放射線量の高い場所の木材は、採取したり使用したりすることが難しく、禁止されているエリアもあります。汚染された森林であっても、放射線量が基準値を下回っていれば、問題なく木材を採取し、使用することは可能です。この採取した木材は、薪やペレットなどの形で、燃料として使用されることがあります。これが「放射能汚染された木質燃料」です。
放射能汚染された木質燃料が大規模に使用される例の一つは、木質バイオマス発電所です。
木質バイオマス発電とは、火力発電の一種であり、燃料は石油ではなく、木質ペレットなどの「木質バイオマス」を使用します。木質バイオマスは「再生可能エネルギー」の一種です。石油などの再生不可能エネルギーからの転換や、CO2削減、エネルギー自給率の向上などにつながるものとして注目されています。
放射能汚染された木質燃料が使えないとすれば、再生可能エネルギーの促進にとってマイナスとなってしまうでしょう。
放射能汚染された木質燃料を使用することに危険はないのでしょうか。実際の事例を参考に、そのリスクについて詳しく見てみましょう。
放射能汚染された木質燃料をバイオマス発電所で使用することで、放射性物質の「濃縮」が発生することが報告されています。木質燃料そのものに含まれる放射性物質は微量でも、それらが一カ所に集まって濃縮されると、危険性が高まります。
微量な放射性物質が付着した木質燃料を大量に燃やすことで、それがフィルタ部分などに蓄積されていき、濃縮が起こるわけです。濃縮された放射性物質を適切に処理できなければ、作業者の被爆などのリスクが懸念されます。
日本においては、秋田県の「能代バイオマス発電所」での事例があります。
この発電所では、「マルチサイクロン」と「バグフィルタ」という2つの装置を利用して、燃焼の際に発生する灰などの有害物質が外気に排出されないようにしています。
このうち、最終的なフィルタである「バグフィルタ」の部分で、高い放射線が検出されたのです。つまり燃料に含まれていた放射性物質が、少しずつバグフィルタに蓄積され、濃縮が発生したと考えられます。
出典:日本木質バイオマスエネルギー協会(https://www.jwba.or.jp/新規ページ-2/熊崎-実レポート-目次1/放射能汚染木質燃料と燃焼灰/)
放射能汚染された木質燃料を使用により放射性物質の濃縮が起こるリスクがあるのであれば、その使用をやめるべきなのでしょうか。その対処法と、基本的な考え方を確認しておきましょう。
「放射性物質の濃縮が起きるのであれば、燃料としての使用をやめるべき」という考え方もあります。しかし、対処方法はそれだけではありません。
放射性物質をきちんと処理できるような設備を整えることで、「濃縮が起こっても安全な体制を作る」という対処方法もあります。濃縮によって問題となるのは、発電所の作業者の健康被害と、放射性物質が発電所の外部に漏れるリスクです。この点にしっかり対応するシステムを作ることが、安全性の確保につながります。
発電所の作業者を保護し、濃縮された放射性物質を適切に処理することで、安全に使用できるという考え方もあるのです。環境へのメリットが期待されている木質バイオマス燃料を浸透させるために、「使用をやめる」以外の選択肢も検討していくことが重要だといえるでしょう。
汚染された木材を大量に燃やして、放射性物質を濃縮するということは、森林にばらまかれた放射性物質を「回収している」ことでもあります。回収した放射性物質を適切に処理できれば、森林の浄化に役立つという見方もできるのです。
実は、一度森林にばらまかれた放射性物質を浄化することは、難しい問題とされています。木の表面に付着した放射性物質が雨によって地面に落ちても、それは再び樹木に吸収されてしまうからです。長い期間にわたって樹木の中に放射性物質が蓄積されることになり、なかなか浄化が進まないのです。
木質バイオマス発電所で燃やして放射性物質を回収することは、森林を浄化するための一つの方法として考えられています。
「放射能汚染された木質燃料」の問題が大きく取り上げられるようになったのは、日本では2011年の福島第一原発事故からですが、世界的には1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故から注目を集めています。
そのためヨーロッパでは既に、放射能汚染された木質燃料と濃縮の関係に関する研究が進行中。しかし、日本ではその研究データや取り組みが浸透していないために、正しい理解や適切な対応が進んでいないという側面があるのです。
チェルノブイリ原発事故で被害にあった北欧の国では、木質バイオマス発電が普及しています。放射能汚染された燃料の使用を完全にやめるのではなく、灰の処理について明確な基準を設け、問題に対応しているのです。
スウェーデンのルンド大学の研究を根拠として、バグフィルタを利用すれば放射性物質が外部に出ないように処理できるという見方もあります。
参照元:日本木質バイオマスエネルギー協会(https://www.jwba.or.jp/新規ページ-2/熊崎-実レポート-目次1/放射能汚染木質燃料と燃焼灰/)
木質バイオマス発電は、再生可能エネルギーの普及にとって重要な存在です。
林業で発生する「間伐材」や「おが屑」など、無駄になってしまう資源を利用して電気を発生させる技術は、エネルギー問題の解決に一役買っています。石油や天然ガスなど、エネルギー源の多くが他国にあり、エネルギー自給率が低い日本においては、「木材」という自国の資源で発電する方法の一つとして期待が集まっているのです。
放射能汚染された木質燃料でも安全に発電できる体制ができれば、汚染されて使い道のない木材を活用できる手段の一つともなります。
「放射能汚染された木質燃料は危険」と頭ごなしに否定せず、「使用をやめる」以外の対処法についても検討し、単なる風評やイメージだけで再生可能エネルギーの普及が妨げられないようにすべきなのです。
木を選ばない
唯一無二のプラントを持つ
バイオマスエナジー社
木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。
そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。