福岡県の木質バイオマス導入事例

福岡県で木質バイオマス燃料を導入している事例を紹介します。福岡県内で木質バイオマス関連の事業を検討している事業者が、どのような補助制度を利用できるのかについても確認しましょう。

福岡県での木質バイオマス導入事例

福岡県内で木質バイオマスを活用した熱活用や、発電事業の事例を紹介します。

事例1. 久留米市「医療法人での熱利用」

久留米市には、医療法人で木質バイオマスボイラーを熱利用している事例があります。木質チップボイラーで発生させた熱を、医療法人が運営する温水プールなどの熱源として活用。製材所で発生する廃棄物の「製材端材」を元にして作られた木質チップを燃料として使用しています。

燃料となる木材の調達先は、久留米市内やうきは市、朝倉市などの森林です。地元のバイオマス燃料を地域内で活用する地産地消の仕組みで運用しています。

重油などを使用した従来の燃料費と比べて、年間で約760万円の経費削減に成功。投資した資金を、約7年で回収できる計画です。CO2削減ができるだけでなく、施設のランニングコスト低減にもつなげています。

事例2. 八女市「観光温泉施設での熱利用」

八女市には、3カ所の「観光温泉施設」で、木質チップボイラーを導入している事例があります。レストランや宿泊施設などもある総合的な観光施設です。

各施設に木質チップボイラーとサイロを設置し、温泉の加温や宿泊施設の暖房などに利用。燃料に使用する木質チップは、製材工場で発生する製材端材や樹皮、林地残材などを原料にしています。

サイロからボイラーへの燃料供給を自動化することで、人による作業をできるだけ削減。人件費を抑えながら効率的に運用しています。こちらも地元の森林組合などと協力して燃料を調達している、地産地消の事例です。

各施設では従来、重油ボイラーを使用して温泉を加温していましたが、木質チップボイラーを導入することで、重油の使用量を減らし、Co2と経費の削減につなげています。重油の年間消費量を、80%以上削減することに成功。将来的には、発電も同時に行う「熱電併給」の導入も検討されています。

事例3. 朝倉郡筑前町「木質バイオマス発電所」

朝倉郡筑前町には、木質バイオマス発電所があります。発電出力は「5,700 kW」です。木質バイオマス発電所というと、大量の燃料を安定供給する必要があり、輸入燃料に依存している施設も少なくありませんが、この発電所は「国内材」を利用しているのが特徴です。

国内から調達した「未利用木材」「製材端材」などを燃料として稼働しています。福岡県内の森林組合などによる協議会からの木材供給を受けて運営している、地産地消モデルの発電所です。

事例4. 豊前市「木質バイオマス発電所」

豊前市には、定格出力「74,950 kW」の大規模な木質バイオマス発電所があります。主燃料として使用しているのは、PKS(パームやし殻)や、木質ペレット。年間発電量は「約50万 MWh」で、一般家庭の約15万世帯分の年間電力をまかなえる計算です。

大規模な発電所ということもあり、PKSなどの輸入材料に依存していますが、化石燃料を使用しないことによってCO2削減に貢献。推定で年間「約20万 t」のCO2削減になるとされています。

福岡県で受けられるバイオマス関連の補助制度

福岡県内でバイオマス関連の事業を計画する場合、どのような補助制度を利用できるのでしょうか。2つの取り組みを紹介します。

福岡県エネルギー利用モデル構築促進事業

福岡県では、再生可能エネルギーや省エネルギーの促進、地域振興などを目的とした「福岡県エネルギー利用モデル構築促進事業」を実施しています。

対象者に補助金を交付することで支援する事業で、木質バイオマスを含む再生可能エネルギーの活用をしている市町村や、民間事業者、NPO法人などが対象です。再生可能エネルギー設備を導入開始する段階の「設備導入事業」だけでなく、事前の準備や調査などをする「可能性調査事業」も含まれています。

再生可能エネルギー活用モデルや省エネルギーモデルに関する調査だけでなく、地域振興につながるような、エネルギー関連の「雇用創出モデル」の調査も対象です。

「可能性調査事業」への補助率は100%で、上限が500万円と定められています。「設備導入事業」への補助率は50%で、上限は1億円です。

補助金を交付するかどうかは、企画の「公募」を行い、審査委員会によって検討されたうえで決定されます。この補助金に関する窓口は、県の企画・地域振興部「総合政策課」の、エネルギー政策室です。

手引き書による導入サポート

福岡県では、木質バイオマスの利用促進のために、「木質チップの熱利用に関する手引き書」を作成し、インターネットで閲覧できるように公開しています。

木質バイオマスボイラーの導入に関する手引きと、木質チップ生産に関する手引きがあり、役立つ情報を提供。導入の参考になるデータや、作業方法に関する詳しい情報を得られます。

木質バイオマスボイラー導入の手引きは、ボイラーの種類と、それぞれの長所・短所、ボイラー導入費を抑えるためのポイントなどが詳しくまとめられた資料です。

木質チップ生産に関する手引きでは、林地残材の収集作業のポイントから、集材コストに関する詳しいデータまで、導入の参考になる情報が載せられています。

福岡県では、資金面だけでなく情報提供という形でも、木質バイオマス導入の補助が受けられるのです。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

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バイオマスエナジー社

木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。

そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。

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