佐賀県の木質バイオマス導入事例

佐賀県で木質バイオマス燃料を導入している事例を紹介します。木質バイオマス関連の事業を検討している事業者が、佐賀県内ではどのような補助制度を利用できるのかについてもまとめました。

佐賀県での木質バイオマス導入事例

佐賀県内で、木質バイオマス燃料を導入している事例を見ていきましょう。導入に向けた計画段階の事例も含めて紹介します。

事例1. 唐津市「温泉施設での熱利用」

唐津市には、温泉施設で木質チップボイラーを導入している事例があります。木質チップボイラーで発生させた熱を、温泉施設の浴槽のお湯やシャワー・カランのお湯の熱源として活用。燃料の木質チップは、主に市内の森林で発生した間伐材を原料にしています。

燃料はスクリュー式のコンベアによって、木質チップを貯めておく設備から自動的に供給される仕組みです。ボイラーで燃焼させた後に発生する灰も、コンベアによって、自動的に灰受けに溜まっていきます。

施設に必要な全ての熱を木質チップボイラーだけで供給することは難しく、灯油ボイラーと併用する形での運用ですが、1年間で約448tのCo2排出量削減が見込める導入事例です。

事例2. 唐津市「松ぼっくりによる発電」

唐津市では、松ぼっくりをバイオマス燃料として活用する研究が進められています。唐津市には、日本三大松原の一つである「虹の松原」があり、大量の松ぼっくりと松の枝葉が発生。現状では、その多くが廃棄されるか、そのまま放置されている状態です。

その清掃活動は、ボランティアや市民団体によって行われていますが、虹の松原の敷地は広大で、その多くに手が回っていないのが現状です。

これをバイオマス燃料として有効活用し、発電に利用するための研究が、2019年から唐津市の主導で進行しています。

松ぼっくりや松の枝葉を試験的に燃焼させ、燃料としての性能を検証したところ、化石燃料の50%程度のエネルギー量があることが実証されました。PKS(やし殻)などと混焼させることで、発電用の燃料として十分な性能を発揮できることが確認済みです。

発電だけでなく、熱活用のためのバイオマスボイラー燃料として、ミカンの温室栽培施設や、養鶏場などに供給することも検討しています。

松ぼっくりや枝葉の清掃のために多くのコストがかかっている現状を解決し、資源の有効活用にもなる取り組みに繋がった事例です。

佐賀県のバイオマス関連の取り組みと補助制度

佐賀県では、バイオマス関連のどのような取り組みがあるのでしょうか。利用できる補助制度についても紹介します。

佐賀市がバイオマス産業都市に認定されている

佐賀市にはなりますが、バイオマス関連の取り組みが認められ、国から「バイオマス産業都市」として認定されています。

バイオマス産業都市とは、その地域にあるバイオマスの収集・運搬から、燃料の加工、利用までを、一貫した産業として構築していることなどが国から認められたエリアのことです。

佐賀市では、清掃工場と、下水浄化センターなどに収集されるゴミや排水を利用して、バイオマス資源として活用する取り組みがなされています。

清掃工場で発生する焼却熱の利用だけでなく、焼却の過程で発生する二酸化炭素を分離して、園芸農家や植物工場、藻類の培養施設に供給。分離した二酸化炭素の有効性と安全性を確認するために、実際に野菜を栽培し、検証しながら実施しています。

また、市内にある企業同士の連携を促進することにも取り組み、アミノ酸製品の工場で発生する廃棄物を、別の企業のダンボール原紙工場で必要な資源として活用することに成功。市内にあるバイオマス資源を無駄にしないよう、さまざまな角度から利用を促進しています。

「佐賀県再エネコーディネーター」派遣事業

佐賀県では「佐賀県再エネコーディネーター」と呼ばれる専門家を派遣するサポート体制を用意しています。

派遣の対象となるのは、木質バイオマス発電などの再生可能エネルギーによる発電事業を計画している、佐賀県内の民間事業者や市町村、NPO法人、自治会や学校などです。

派遣してもらうための費用は無料で、1つの案件につき、派遣できるのは原則2回まで、1回あたり4時間までを目安として、専門家を派遣してくれます。佐賀県再エネコーディネーターとして登録されているのは、電力会社のエンジニアなど、分野ごとの専門家です。高度なアドバイスが期待できるでしょう。

この制度の窓口は佐賀県の産業労働部「新エネルギー産業課」の新エネルギー担当です。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

木を選ばない
唯一無二のプラントを持つ
バイオマスエナジー社

木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。

そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。

コスト削減の切り札!?
木質バイオマスの
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