木質バイオマスの導入事例

発電や熱利用、あるいはその他の目的であれ、木質バイオマスを導入するうえでなにを燃料に使っていて、どんな効果をもたらしているかが気になることと思います。

そこで、以下に木質バイオマスの導入事例をご紹介します。もちろん、これらをそのまま真似すればいいというものでは決してありませんが、導入を推進するにあたっての参考になるはずです。ぜひ、ご一読ください。

【事例1】林業の間伐材を、製造業と農業の熱エネルギーに

間伐材の写真

こちらは栃木県那珂川町における事例。環境省ならびに林野庁の「木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業」をきっかけに制度化され、以後も事業として継続されているとのこと。

林業で排出される未利用間伐材を製材工場へ搬入、チップ化し、チップボイラーへ搬送。ボイラーで発生した蒸気を、建築資材として用いられるALC(高温高圧多湿養生を意味するオートクレーブ処理で製造管理された軽量気泡コンクリートの製造)に活用。また、ボイラーで発生した温水を、農業ハウスへ供給するというシステムを確立しています。

木質燃料に関しては、森林組合および素材生産業者が間伐・皆伐に伴う未利用材を供給。供給を受けた県北木材協同組合那珂川工場がチップ製造し、素材生産業者も未利用材及び製材端材をチップ化して供給している流れとなっています。

導入されているボイラーは飽和蒸気ボイラーというタイプで、定格出力4000kw、年間の燃料使用量は11,000tとのこと。またALC工場、農業ハウスそれぞれにも蒸気/温水の受け入れ装置を配備しています。

導入費用は4億600万円、ランニングコストは年間約8,900万円となっているものの、バイオマス蒸気利用によって削減された重油は約2,000万円分相当と換算。農業での温水利用の面でも、約51万1,000円分相当の灯油削減につながったとしています。

【事例2】木屑だきボイラーを、木材乾燥と暖房に活用

薪の写真

こちらは北海道上川郡下川町における事例。年々高騰する原油価格によって経営が圧迫される状況の改善のために、木質バイオマスを活用した事例です。とりわけ注目すべきは、このケースは木材の製造によって排出される木屑を燃料として、木材の乾燥に役立てるという、いわばエネルギーの地産地消です。

同町の下川町森林組合では、主に建築資材用の集合材を製造していますが、以前は木材の乾燥に重油・灯油ボイラーを用いており、その燃料費に年間約1,400万円が必要となっていたそうです。

一方、「本業」においては、かんな屑、おが屑、端材などが大量に発生。これらを燃料とする木屑だきボイラーを導入し、乾燥(ならびに施設の暖房にも)利用すれば、燃料費の抑制ができると考え、実行に移されたそうです。

導入費は木質バイオマス蒸気ボイラーが一式2,500万円、チッパー機が600万円で合計3,100万円。これにより、年間の燃料費が800万円にまで節約できるようになったとのこと。また、暖房を使用しない夏季は余剰になった木屑をブリケット(圧力をかけて固めた成型燃料)に製造し、冬場に蓄えておくほか、余剰なものは商品として外部に販売するということもできているそうです。

【事例3】間伐材の薪を燃料に、温泉施設の給湯に活用

温泉の写真

高知県四万十市のバイオマス導入事例です。長らく止めていた温泉施設を復活させるにあたり、重油から薪ボイラーに転換。安定的に燃料を確保するため自伐林家と協定を結び、未利用材を積極的に活用しました。

薪に加工された未利用材は、定期的に温泉施設に供給。給湯等の熱源として利用されています。薪の価格は1㎥あたり7,000円、月の平均運搬量は5~7㎥。薪にした大きな理由は、ボイラーに入るサイズにカットするだけで良いという利便性の良さと、含水率が比較的高い木材の使用が可能だったことでした。

薪ボイラーに転換後は、温泉施設にかかる年間経費を70%削減に成功。確実な燃料供給が確保され、地域の森林整備が活性化するとともに、生産者の所得向上と森林所有者の利益還元にもつながっています。今後はすべての熱源を木質バイオマスにするとともに、抜群のロケーションを武器に県外からの集客数を増やす計画を立てているそうです。

高知県四万十市のバイオマス導入事例です。長らく止めていた温泉施設を復活させるにあたり、重油から薪ボイラーに転換。安定的に燃料を確保するため自伐林家と協定を結び、未利用材を積極的に活用しました。

薪に加工された未利用材は、定期的に温泉施設に供給。給湯等の熱源として利用されています。薪の価格は1㎥あたり7,000円、月の平均運搬量は5~7㎥。薪にした大きな理由は、ボイラーに入るサイズにカットするだけで良いという利便性の良さと、含水率が比較的高い木材の使用が可能だったことでした。

薪ボイラーに転換後は、温泉施設にかかる年間経費を70%削減に成功。確実な燃料供給が確保され、地域の森林整備が活性化するとともに、生産者の所得向上と森林所有者の利益還元にもつながっています。今後はすべての熱源を木質バイオマスにするとともに、抜群のロケーションを武器に県外からの集客数を増やす計画を立てているそうです。

木質バイオマスの導入事例からわかること

木質バイオマスは化石燃料の代替として、一定以上の成果を上げていることがわかります。上記の3例では薪・チップ・おが粉と、燃料にできる木質の種類がそれぞれ異なっているボイラーである点も見逃せません。条件に合わない木材だと、燃料として使用できない、という事態も起こり得るからです。

そこで注目したいのが、木材なら種類を問わず、なんでも燃料とすることができるボイラーです。その画期的なボイラーを自社で制作したのが、長崎にあるバイオマスエナジー社。木質バイオマスの可能性をさらに広げうるボイラーとして、業界でも大いに注目されています。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

木を選ばない
唯一無二のプラントを持つ
バイオマスエナジー社

木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。

そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。

コスト削減の切り札!?
木質バイオマスの
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