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火力発電の一種であるバイオマス発電所では、膨大な熱を発生させます。その熱を発電以外のことに利用する「熱活用」について、具体的な事例と共に紹介します。
バイオマス発電所では、バイオマスを燃焼させることによってタービンを回し、電力を発生させます。しかし、その熱のほとんどは無駄になってしまうのです。発生させた熱エネルギーのうち、およそ20~30%が電力に変換されるだけで、残りのエネルギーはそのまま失われてしまいます。
せっかく発生させた「熱エネルギー」を、暖房の熱源として利用したりなど、他の用途にも活用し、無駄にしないことがエネルギーの有効活用には大切です。
このようなシステムを「熱電供給」または「コージェネレーション」と呼びます。貴重なエネルギーを無駄にせず、省エネを実現するためにも重要なシステムです。既にいくつかのバイオマス発電所では、熱電供給の仕組みを取り入れることで、エネルギー効率を高める工夫を実施。発電所を運営する会社そのものが熱を利用する場合もあれば、他の事業者に熱を販売するというケースもあります。
バイオマス発電所で発生した熱の活用形態としては、主として「温水」「温風」「蒸気」の3パターンが考えられます。
それぞれの形態によって活用法も異なっており、例えば熱で水を温めて温水として利用する場合、温浴施設や宿泊施設などの浴場や厨房、暖房設備などへの熱活用が可能です。
空気を暖める温風の利用を考えた場合、農業用ハウスなどで暖房用途に使うことができます。
また、蒸気を発生させることは同時に水を蒸発させるということでもあり、木材乾燥や消毒などを目的として、工業施設や木材加工施設などで利用できます。
木質バイオマスの熱活用・熱利用施設を導入しようと考えた場合、まず以下のような点についてしっかりと検討することが欠かせません。
そもそもどうしてその施設が必要なのか、本当に導入すべき施設がそれで良いのかなど、施設導入の根本的な意義や意図、価値などを検討します。
加えて、利用するバイオマスがどのようなものであるか、必要量のバイオマスをどういった経路でどれだけ収集するかなど、施設を完成させた後の運用計画についても考えておくことが大切です。
施設導入のメリットやイメージについて話し合った後、改めて立地場所の選定や熱活用システムの内容などについて具体的な話し合いを進めます。
バイオマス由来の熱をどういった用途で使っていくのかはもちろん、設備導入に携わる事業者や専門家にも話を聞いて、事業体制の総合的なプランニングを行います。
プランが固まれば、いよいよそれを実行させるために必要な実務面の検討や実行準備という段階です。
プランに応じた資金計画や法規制への対応、リスクマネジメント、土地購入など、計画実現・実行に向けて必要とされる計画の詳細を実行可能な段階にまで突き詰めていきましょう。
熱活用・熱利用施設を導入するのは、バイオマス利用や熱活用によって様々なメリットを得られると期待できるからです。
いざ施設を導入しても赤字ばかりで損失しか拡大しないとなれば、結果的に事業が破綻して経済的にも環境的にも負担が増大してしまいます。
最初から大規模施設を検討するのでなく、あくまでもバイオマスの量や熱活用の用途に合わせた規模を検討することが欠かせません。
どのようなバイオマスを利用するのか、それによって得られるエネルギーや熱量など、バイオマスや燃料の見極めも重要です。
施設導入後にどのような流れやシステムで運用・管理を続けていくか、事前に詳細なマニュアルや運用フローを作成しておかなければなりません。
また、導入後の実態も確認しつつ、常に適正なフローへの見直しを重ねていくことも大切です。
宮城県の「気仙沼地域エネルギー開発株式会社」では、木質バイオマス発電によって発生する熱で木質燃料チップの乾燥を行い、燃料調達のために活用。さらに熱を利用してお湯を作り、近隣の宿泊施設に供給するという活用方法も併用しています。
秋田県の「ボルタージャパン株式会社」は、小型のバイオマス発電機を道の駅に設置し、発電の際に発生する熱をそこで足湯に利用して提供。道の駅に設置することで、バイオマス発電と熱活用に関する認知度を上げる効果も狙っています。
群馬県「上野村」の事例は、自治体による熱電供給の取り組みです。「上野村きのこセンター」に設置した木質バイオマス発電機によって、きのこ生産に必要な熱エネルギーと電力を供給しています。
岐阜県の「飛騨高山グリーンヒート合同会社」では、小型のバイオマス発電所で作った電力を中部電力に販売しながら、近隣の温浴施設に「熱を販売する」という形で有効活用しています。
兵庫県赤穂市にある「株式会社日本海水」は、木質バイオマス発電と天然ガス発電のコージェネレーションシステム施設を運営しています。木質バイオマス発電と、天然ガスタービン発電によって発生させた電力を販売しながら、工場内でも利用。発電の過程で余った蒸気を工場内で利用するという形で熱活用をしています。
バイオマスタウンに選定されている徳島県那賀町には、木質バイオマスを「バイオマス液体燃料」「電気」「熱」の3つに変換して利用する「トリジェネレーションシステム」があります。熱は、バイオマス液体燃料を生成するプラント内で再利用するという仕組みです。
神奈川県三浦市にある「三浦バイオマスセンター」は、し尿・浄化槽汚泥、農作物収穫残さ、水産残さ、公共下水道汚泥の処理と、バイオマス発電による熱電併給を両立した施設です。処理過程で発生するバイオガスを利用して、ガスエンジンによって発電。発生した電力と熱は、施設内の電気と暖房として利用しています。
群馬県にある「株式会社ウッドビレジ川場」では、木質バイオマス発電による排熱を、いちご農園の温室に供給することで活用。発電施設は45kWの小規模なタイプで、近隣の利根沼田地域の森林からの燃料供給だけでまかなえるように運営されています。
北海道の「株式会社Jファーム」では、JFEエンジニアリングのガスエンジン・トリジェネレーションシステムを採用しています。バイオマス燃料を「電気」「熱」「CO2」の3つに変換し、ミニトマトやベビーリーフの温室栽培に活用。野菜の育成に必要な熱とCO2、電力を同時に供給するシステムです。
バイオマス発電の熱活用を計画する上で、検討すべきポイントを確認しておきましょう。
バイオマス発電事業においては、必要な燃料を「いかに継続的に確保するか」が重要なポイントです。大規模な発電施設になると、大量の燃料が必要となり、大きなコストがかかります。やし殻などの輸入燃料に頼っている発電所も少なくありません。
小規模なバイオマス発電の方が、少ない燃料で稼働できるので、燃料を低コストで継続的に確保しやすいというメリットがあります。
ただし、小規模な発電施設では発電効率が低くなりやすいのがデメリット。その点を補うのが「熱活用」です。電力への変換効率は悪くても、排熱を有効活用することで、エネルギーの無駄を抑えられます。
コンパクトな発電機は、さまざまな建物内に収まるので、さまざまな熱活用の工夫がしやすいのもメリットです。燃料の確保と熱活用がしやすい小規模なバイオマス発電では、多くの成功事例があります。
地域で協力して、燃料を確保する仕組みをつくることも重要です。燃料の運搬にかかるコストを抑えるためにも、燃料を作る場所と、利用する場所ができるだけ近いようにする必要があります。
地域のネットワークを大切にして、環境に良いだけでなく地元の多くの企業や組織にメリットのある発電事業を計画することが大切です。
木を選ばない
唯一無二のプラントを持つ
バイオマスエナジー社
木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。
そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。