バイオマス発電所の熱活用

火力発電の一種であるバイオマス発電所では、膨大な熱を発生させます。その熱を発電以外のことに利用する「熱活用」について、具体的な事例と共に紹介します。

バイオマス発電所の熱活用とは?

バイオマス発電所では、バイオマスを燃焼させることによってタービンを回し、電力を発生させます。しかし、その熱のほとんどは無駄になってしまうのです。発生させた熱エネルギーのうち、およそ20~30%が電力に変換されるだけで、残りのエネルギーはそのまま失われてしまいます。

せっかく発生させた「熱エネルギー」を、暖房の熱源として利用したりなど、他の用途にも活用し、無駄にしないことがエネルギーの有効活用には大切です。

このようなシステムを「熱電供給」または「コージェネレーション」と呼びます。貴重なエネルギーを無駄にせず、省エネを実現するためにも重要なシステムです。既にいくつかのバイオマス発電所では、熱電供給の仕組みを取り入れることで、エネルギー効率を高める工夫を実施。発電所を運営する会社そのものが熱を利用する場合もあれば、他の事業者に熱を販売するというケースもあります。

バイオマス発電の熱活用の事例9つ

事例1 宮城県 気仙沼市「木質チップの乾燥と温水供給」

宮城県の「気仙沼地域エネルギー開発株式会社」では、木質バイオマス発電によって発生する熱で木質燃料チップの乾燥を行い、燃料調達のために活用。さらに熱を利用してお湯を作り、近隣の宿泊施設に供給するという活用方法も併用しています。

事例2 秋田県 北秋田市「足湯」

秋田県の「ボルタージャパン株式会社」は、小型のバイオマス発電機を道の駅に設置し、発電の際に発生する熱をそこで足湯に利用して提供。道の駅に設置することで、バイオマス発電と熱活用に関する認知度を上げる効果も狙っています。

事例3 群馬県 上野村「きのこ栽培」

群馬県「上野村」の事例は、自治体による熱電供給の取り組みです。「上野村きのこセンター」に設置した木質バイオマス発電機によって、きのこ生産に必要な熱エネルギーと電力を供給しています。

事例4 岐阜県 高山市「熱を販売」

岐阜県の「飛騨高山グリーンヒート合同会社」では、小型のバイオマス発電所で作った電力を中部電力に販売しながら、近隣の温浴施設に「熱を販売する」という形で有効活用しています。

事例5 兵庫県 赤穂市「蒸気の利用」

兵庫県赤穂市にある「株式会社日本海水」は、木質バイオマス発電と天然ガス発電のコージェネレーションシステム施設を運営しています。木質バイオマス発電と、天然ガスタービン発電によって発生させた電力を販売しながら、工場内でも利用。発電の過程で余った蒸気を工場内で利用するという形で熱活用をしています。

事例6 徳島県 那賀町「トリジェネレーションシステム」

バイオマスタウンに選定されている徳島県那賀町には、木質バイオマスを「バイオマス液体燃料」「電気」「熱」の3つに変換して利用する「トリジェネレーションシステム」があります。熱は、バイオマス液体燃料を生成するプラント内で再利用するという仕組みです。

事例7 神奈川県 三浦市「バイオガスによる熱電併給」

神奈川県三浦市にある「三浦バイオマスセンター」は、し尿・浄化槽汚泥、農作物収穫残さ、水産残さ、公共下水道汚泥の処理と、バイオマス発電による熱電併給を両立した施設です。処理過程で発生するバイオガスを利用して、ガスエンジンによって発電。発生した電力と熱は、施設内の電気と暖房として利用しています。

事例8 群馬県 川場村「いちご農園の温室で利用」

群馬県にある「株式会社ウッドビレジ川場」では、木質バイオマス発電による排熱を、いちご農園の温室に供給することで活用。発電施設は45kWの小規模なタイプで、近隣の利根沼田地域の森林からの燃料供給だけでまかなえるように運営されています。

事例9 北海道 苫小牧市「ミニトマトとベビーリーフの温室栽培」

北海道の「株式会社Jファーム」では、JFEエンジニアリングのガスエンジン・トリジェネレーションシステムを採用しています。バイオマス燃料を「電気」「熱」「CO2」の3つに変換し、ミニトマトやベビーリーフの温室栽培に活用。野菜の育成に必要な熱とCO2、電力を同時に供給するシステムです。

バイオマス発電の熱活用の計画で検討すべきこと

バイオマス発電の熱活用を計画する上で、検討すべきポイントを確認しておきましょう。

継続的に燃料を確保する方法を計画する

バイオマス発電事業においては、必要な燃料を「いかに継続的に確保するか」が重要なポイントです。大規模な発電施設になると、大量の燃料が必要となり、大きなコストがかかります。やし殻などの輸入燃料に頼っている発電所も少なくありません。

小規模なバイオマス発電の方が、少ない燃料で稼働できるので、燃料を低コストで継続的に確保しやすいというメリットがあります。

ただし、小規模な発電施設では発電効率が低くなりやすいのがデメリット。その点を補うのが「熱活用」です。電力への変換効率は悪くても、排熱を有効活用することで、エネルギーの無駄を抑えられます。

コンパクトな発電機は、さまざまな建物内に収まるので、さまざまな熱活用の工夫がしやすいのもメリットです。燃料の確保と熱活用がしやすい小規模なバイオマス発電では、多くの成功事例があります。

地域からの協力を得る

地域で協力して、燃料を確保する仕組みをつくることも重要です。燃料の運搬にかかるコストを抑えるためにも、燃料を作る場所と、利用する場所ができるだけ近いようにする必要があります。

地域のネットワークを大切にして、環境に良いだけでなく地元の多くの企業や組織にメリットのある発電事業を計画することが大切です。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

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バイオマスエナジー社

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