木質バイオマス利用施設に関連する補助金

地球環境を配慮した事業の重要性がますます高まる中、カーボンニュートラルの性質を持つ木質バイオマスは、さらなる注目を集めつつあります。そのため、木質バイオマスを利用した施設への、国による支援策も多く設けられています。
このページでは、その中からいくつかピックアップし、事業ごとに、事業の詳しい目的や補助金・交付金の予算額、交付対象などを説明しています。

各省が設けている補助金などの支援策

農林水産省・総務省・文部科学省・経済産業省・環境省ではそれぞれ、どのような支援策を予算に組み込んでいるのでしょうか。省ごとにみていきましょう。

農林水産省

林業成長産業化総合対策

森林の経営や管理に携わる人材の育成や、林業を効率的に行うためのサプライチェーンの構築、または木材の需要をアップさせるための取り組みなどへの支援です。木質バイオマス利用促進施設の整備など、地域内におけるエコシステムの一環としての取り組みも、これに該当します。林業成長産業化総合対策の平成31年度の予算概要請求額は、18,572百万円となっています。

農山漁村振興交付金

農業者などを含む住民の勤め先を確保し、農村漁村の住民の所得アップや雇用を増やすための活動を支援するための交付金です。平成31年度の予算概算決定額は9,809百万円となっています。主な内容は次の3つです。

まず、農村漁村普及啓発対策。都市と農村漁村の交流などをとおして、農村漁村を多くの人に知ってもらうための取り組みなどへの支援です。

次に、農山漁村交流対策 。地域資源を有効利用し、観光コンテンツ(たとえば農村漁村に滞在する「農泊」など)を創出する取り組みなどへの支援です。農泊をビジネスとして成立させられる体制づくりのための予算が組まれています。平成31年度の予算概算決定額は5,258百万円となっています。

もうひとつが、農山漁村定住促進対策。農村漁村の活性化を目指して行われる、地域資源の商品化といった取り組みにへの支援です。

総務省

地域経済循環創造交付金(ローカル10,000プロジェクト)

「地域経済好循環推進プロジェクト」のひとつです。地域に新たな雇用を創出したり、為替変動に大幅に左右されることのない経済構造を構築したりするのが狙いのプロジェクトです。「ローカル10,000プロジェクト」は、地域が持つ資源や資金を活用しつつ、地域に根付いた事業を立ち上げることで、大規模な雇用を新たに作り出すための活動への支援です。

交付金を受け取る団体として選出されるためには、申請が必要となります。申請すると、外部の有識者たちが申請内容を調べ、評価し、交付先を決定します。平成30年度第6回目の決定では、選出された4事業に対して98百万円の交付が決定されました。

地域経済循環創造交付金(分散型エネルギーインフラプロジェクト)

この交付金も「地域経済好循環推進プロジェクト」のひとつです。バイオマスや廃棄物など、地域で発生した「資源」を有効利用するための事業を立ち上げる活動への支援です。その事業は、中心的存在である地方公共団体、その他需要家、地域エネルギー関連の企業、さらに金融機関などの総力を結集して行われる性質のものでなくてはなりません。

交付金を受け取るには、交付申請を行います。申請後は、外部の有識者達が申請内容について評価を行う流れとなります。

文部科学省

未来社会創造事業

公募テーマを定め、「ハイリスクであってもハイインパクトな研究」を開発する取り組みを推進する事業です。社会のニーズを理解した上で、経済的にもインパクトのある、ハイレベルな目標を設定することで、新しい価値やサービスを生み出すことができるという考え方です。産業構造がかつてと異なり、スピーディーに変化しつづける現代においては重要視されています。この事業に対して2018年度にくまれた予算は、5500百万円です。

「地球規模課題である低炭素社会の実現」に取り組む領域では、充填公募テーマのひとつが「バイオマスデザインによる石油由来資源を代替するエネルギー・材料技術」となっています。

戦略的創造研究推進事業(先端的低炭素化技術開発)

戦略的な姿勢を失わずに取り組む基礎研究を支援するための施策です。研究者が持つ、ユニークかつハイレベルな研究を推し進めるのがねらいです。9つある技術分野はすべて、カーボンニュートラルや省エネルギーの考え方により、低炭素化社会の実現を目指すためのものです。先端的低炭素化技術開発の領域を扱う事業は、2010年に発足しています。排出されるCO2を削減するべきという社会的課題や、パリ協定がその背景にあります。

経済産業省

実証事業

正式な事業名は「地域で自立したバイオマスエネルギーの活用モデルを確立するための実証事業」です。これは、バイオマスエネルギーを導入する場合に不可欠なシステムを明確に定義するためのものです。具体的には、バイオマスの種類ごとに、技術などの洗い直しが行われます。「ビジネスとして成立」する、つまり事業としての収支が確保できると見込まれる場合には、導入の際の要件や技術指針に合うモデル実証などが実施されます。さらに改良すべき技術の開発も進められます。

こういったプロセスを経て、最終的にはバイオマスエネルギーの導入をさらに推し進めていくのが狙いです。この事業の平成30年度の予算額は23億円です。

再生可能エネルギー熱事業者支援事業

正式な事業名は「再生可能エネルギー熱事業者支援事業(地域の特性を生かしたエネルギーの地産地消促進事業補助金」」です。補助金が交付される対象となるためには、再生可能エネルギー熱利用設備(バイオマス熱利用やバイオマス燃料製造など)を採用することが条件です。

民間企業もや青色申告を行っている個人事業主も補助対象の事業者として認められます。ただし、民間企業の場合は「地方公共団体からの出資を受けることで設立された法人」や「営利目的ではない事業を取り扱う民間団体」などは補助対象から外れるので注意が必要です。この支援事業にあてられた予算額は、平成30年度では、20億1,000万円です。

環境省

再生可能エネルギー電気・熱自律的普及促進事業

再生可能エネルギーをさらに社会に浸透させ、温室効果ガスを削減し、さらには低炭素社会を実現することを目標とした事業です。なお、平成30年度に補助金を交付される団体として、公益財団法人日本環境協会が選ばれました。

木質バイオマス資源の持続的活用による再生エネルギー導入計画策定事業

温室効果ガスの排出削減を実現するために、さまざまな種類のエネルギーをいかに有効活用すべきか、その方法が模索されています。地球温暖化対策を推し進めることを目標とする法律に基づいて、地方公共団体は、温室効果ガスを削減する計画の策定をしなくてはなりません。そのため、普及が進みつつある再生可能エネルギーの導入をさらに促進する必要があります。

放置されているような状態の森林および里地などにかなり大量に残されてる木質バイオマス資源を活用する方法が一例としてあげられます。この方法は、同時に、生物多様性の維持にもつながるすぐれた特徴があります。事業を行う法人の公募は、環境省地球環境曲によって行われます。この支援事業に出された予算案は、平成30年度では、500百万円となっています。

木質バイオマス関連の税制

省エネ再エネ高度化投資促進税制

この税制の対象者は、青色申告書を提出する個人、あるいは法人(特定事業者・特定連鎖化事業者・当該特定連鎖化事業者によって行われている「連鎖化事業」への加盟者)です。ただし、2017年度と2018年度の事業者クラス分け評価制度において、どちらの年度でもS評価を得ている必要があります。なお、これは2019年度の例です。最新の情報に関しては、経済産業省資源エネルギー庁のHPを参照してください。

再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置

木質バイオマスエネルギーなどの再生可能エネルギー発電設備に課せられる固定資産税が一定期間軽減される特例措置です。

木質バイオマス関連事業を継続するために

木質バイオマスを利用した事業は、国によってさらなる普及が推し進められている状態です。そのため、今後新しい助成金制度が設けられる可能性も充分に考えられます。

収支を確保し、事業を安定的に継続していくためにも、補助金を上手に利用し、利益を最大化することが大切です。常に各補助金制度の最新情報に関しては、常日頃からアンテナを高くしておきましょう。

取材協力
バイオマスエナジー社の公式HPキャプチャ
引用元HP:バイオマスエナジー社公式HP
https://www.bme.co.jp/wp/

木を選ばない
唯一無二のプラントを持つ
バイオマスエナジー社

木を原料に温風や水蒸気、バイオマスガスといった新たなエネルギーとしてリサイクルする画期的手法が、木質バイオマス。しかし、これまでバイオマスを燃やすプラントには燃料の制限があり、使いたい木材に対応できないというものばかりでした。

そうしたなかで、どんな木でも燃やせるプラントを誕生させたのが、バイオマスエナジー社です。当サイトでは、唯一無二のプラントを持つバイオマスエナジー社(2019年7月現在)に取材協力を依頼。実際にどんなプラントなのか、そしてコスト削減はどれくらいか。現地取材しレポートにまとめたので、ぜひご覧ください。

コスト削減の切り札!?
木質バイオマスの
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